音楽の「現在」を語る上で、重要なことは「音楽は細分化された高度な趣味趣向領域」であるということだ。今ではオリコンは誰も参考にしない。土曜の深夜のCDTVのランキングで自分の好きなアーティストが何位にランクインするかなど興味がない。というか、そもそもCDTV以前にテレビを見なくなってしまった。 仮にCDが最高に売れた90年代を「昔」と仮定した場合、2013年の「現在」と決定的に違うことはなにか。それは音楽が共通言語として機能しなくなったことが挙げられる。今回はこの音楽が共通言語でなくなったことについて考えてみたい。 ◆ソーシャルグラフとインタレストグラフが同一だった時代 いま僕は29歳である。僕が小学校や中学生のときに流行っていた音楽番組を思い出してみる。「HEY HEY HEY MUSIC CHAMP」「ミュージックステーション」「CDTV」「THE 夜もヒッパレ」などがある。これらの番組