今年の1月31日をもって、鎌倉にある神奈川県立近代美術館が閉館になった。この美術館は、まだ占領下の昭和26年に生まれたもので、「近代建築」の巨匠、ル・コルビュジェの薫陶を得た筋金入りのモダニストである坂倉準三が設計した「近代美術館」であった。 「近代の終わり」と「新しい中世」閉館を惜しむ声は多く、最後の展覧会「鎌倉からはじまった」には大勢の人が訪れたが、私もこれまでよく足を運んだこの美術館にこれで最後だという思いで出かけた。2階のテラスでコーヒーを飲みながら、ここからの眺めも見納めなのだなととても残念に思った。会場で見てきた絵画を振り返っていたが、ふと「近代」というものが本当に終わったな、という実感が強く湧き上がってきた。この考えはもう随分前から抱いてきたが、今回の「近代美術館」の閉館はその象徴のように思われた。 第1回展覧会は「セザンヌ、ルノワール展」であった。まさに「ヨーロッパの近代」