世界遺産・日光東照宮=日光市山内=は所蔵宝物の調査を進め、江戸期の天体観測機器「渾天儀」(小)の由来が明らかになった。日本で初めて暦を作成した天文学者安井算哲の設計で、一時期は天皇も使用したという。現存している算哲の渾天儀は、東照宮所蔵のみだ。現在公開中の映画「天地明察」の主人公として、がぜん注目が集まっている算哲。東照宮は「歴史ロマンに思いをはせてほしい」として、宝物館で特別展示を始めた。 平安期から採用されていた中国の暦は、江戸期には大きな誤差が生じていた。幕府の命を受けた算哲は改暦事業に挑み、日本初の暦「貞享暦」を生み出す。その際に活用したのが、天体の運行や星座の異動などを測る「渾天儀」だった。 東照宮は、徳川家康の400回忌に当たる「400年大祭」を2015年に控え、宝物の調査を進めている。その過程で、今回の渾天儀もこれまで不明だった伝来の経緯を調べた。 1675年に算哲が職人に依