欧米の広告マンがよくする質問に、「広告電通賞というのは何のためにあるの?」というものがあります。電通という広告を生業とする一企業が制定する広告の賞でありながら、電通だけでなく、博報堂、ADKをはじめとする広告代理店が制作した広告作品が審査対象で、業界では日本で最も権威のある広告賞のひとつとして認識されている。そんな状況を、不思議に思うようです。社内賞みたいな感じなのに、なぜ、というわけですね。 広告電通賞は、電通の第4代社長である吉田秀雄が、1947年の社長就任の年に制定した広告賞です。吉田は、広告業界で「広告の鬼」と言われる人で、現在の電通のみならず、日本の広告業界の近代化に多大な貢献をしました。彼が作った「鬼十則」はよく知られていますよね。 鬼十則 一、仕事は自ら「創る」べきで与えられるべきではない 二、仕事とは先手先手と、能動的に「働きかけ」ていくことで、受け身でやるものではない 三