プログラマブルフードの開発 ―食事中の味の変化をプログラム可能にする― 1.背景 料理は歴史的に技術の進展と進化をともにしている。酵母菌の発見と知見の進歩によ ってパンやチーズなどの発酵食品を食材に取り込む事が可能になった。産業革命以後は モーターの発明により安価なムースが一般的に食べられるようになり、現代では化学調味 料に代表されるように科学の進歩が食を大きく変化させている。 このように、料理の進歩は利用可能な技術に依存している。しかし、最も現代的な技術 であるコンピュータの料理への貢献は未踏領域のままである。現代的な料理の代表とし てモレキュラーガストロノミーと呼ばれる料理の素材に対する化学的なアプローチがある。 一方、味の時間的変化は素材の調理とは別に食事の体験を向上する方法で、既存の料 理手法にも取り入れられている。例えば、ひつまぶしはご飯、漬け物、出汁、刺身などが 別個の皿にもら