映画雑誌、キネマ旬報が発表する毎年のベスト・テンは、2023年度で第97回。日本の映画界では日本アカデミー賞などと並んで、重要な映画賞という位置づけだ。米アカデミー賞も今年で第96回なので、それよりも長い歴史を誇っているというのがスゴい。2023年度のキネマ旬報日本映画ベスト・テン第1位、つまり最優秀作品に輝いたのは、阪本順治監督の『せかいのおきく』で、これは同じく映画賞の毎日映画コンクールでの日本映画大賞とも重なっている。ただ、日本アカデミー賞で『せかいのおきく』は優秀作品賞の5本には入っていない(他のどの部門でもスルーされている)。 キネマ旬報ベスト・テンは、映画評論家、ジャーナリストらの投票によって決まる。2023年度、日本映画の部門に投票したのは、59人。そこに編集部の1票が加わるので、計60となっている。外国映画、文化映画のベスト・テンもあるが、もうひとつ、読者選出ベスト・テンと