人の多いところに行くのが苦手だ。人が嫌いというわけではないけれども、新宿や渋谷などの賑やかな街に出かけると、人混みにあてられて頭がフワーッとしてしまう。たぶん私は、自分と外界との間にシャッターを降ろすのが下手なのだ。他人との距離が近いのも落ち着かないし、すれ違う人のちょっとした仕草や話し声なんかも気になって仕方がない。人間って生々しいし、情報量が多すぎる。すぐにへとへとに疲れては、近くのカフェや喫茶店に逃げ込むことになる。 私にとってカフェは避難所だ(この連載のバナーを描いてくれているカフェマニアの飯塚めりさんも、同じようなことを言っていた)。お金を払って、一人になれる場所と時間を買う。もちろん友人とレジャー感覚でいい感じのお店に行くのも好きだ。特徴のあるメニュー。こだわりの内装。人柄の良い店主。だけど人に疲れてしまったときは、そういう個人経営っぽいお店にはどうしても足が向かない。人の気配