金融庁にとって、また銀行等にとっても、最重要にして緊急の課題は、預金を削減することです。なぜなら、金融行政の課題は資本市場機能の強化にあって、そのためには個人貯蓄を預金から投資信託へ移転させることが必要であり、銀行等にとっては、運用先のない預金は収益の圧迫要因になっているからです。しかし、金融行政や銀行等の都合で国民の金融行動を変えられるはずもなく、さて、どうしたら預金を削減できるのか。 金融行政の課題 金融庁は、銀行等の金融機関の行動様式を変えることはできても、その顧客である国民の行動様式を変えることはできません。しかし、国民の金融行動を変えない限り、金融庁の行政課題は実現できないのです。 なぜなら、森信親長官のもとで、金融庁の行政目的は、金融機関の監督を行うことから、国民の安定的な資産形成と経済の持続的な成長を実現するために金融機能を高度化することへと、本質的な転換を遂げており、金融機