メディアは連日、新規感染者の報告数の速報を打ち、政府の緊急事態宣言の発出についての動向を伝える。 しかし、こうした報道に果たしてどれほどの意味があるのだろうか。 自治体が公表した感染者の情報をそのまま、もしくはそれ以上に詳しい個人情報を特定し、掲載するメディアが存在するのも事実だ。 感染拡大を防ぐための行動歴という範囲を超えて、広く発信されるそうした情報が感染者への差別や偏見につながる。 こうした中で、新たに内閣官房新型コロナウイルス感染症対策分科会の中に組織されようとしているワーキングループが取り組むのは、差別や偏見といった感染者の人権に関する課題だ。 「陽性者や感染者に関する個人情報の公表とその報道は、新型コロナのまん延防止に役立つものだけで十分ですよねという合意を得たい。私はこのワーキンググループに望みをかけています」 新型コロナウイルス対策専門家分科会メンバーで、医療社会学や医療倫