泊次郎 (2008年6月2日刊行,東京大学出版会,東京, vi+258 pp.,本体価格3,800円,ISBN:978-4-13-060307-2 → 目次|版元ページ) 【書評】※Copyright 2008, 2019 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved 戦後の科学史を論じた新刊としては比類なくおもしろい.読めば読むほど戦後の地学団体研究会すなわち“地団研”の動きは,同時代だった“ルイセンコ”な人びとのふるまいと連動している(少なくとも類似している)と感じる.戦後間もなくの日本共産党の指導下で進められた“民科”運動と連動したのが,“地団研”であり“ルイセンコ派”だった.前者の「井尻正二」と後者の「徳田御稔」とは当時の科学者コミュニティでの「イコン」としての性格がきっと似ていたのだろう. いわゆる「マルクス主義科学」が敗戦直後の日本の科学コミュ