「翁(おきな)」という天下泰平を祈るおめでたい儀式のような演目があります。三番叟(さんばそう)という役が登場し、種まきのしぐさをしながら躍動的な舞をするのですが、このとき三番叟が手に持つ「鈴」が今回の主役です。 お稽古場の机の上には、鈴の入った木製の箱が二つ準備されていました。さっそく開けて、見せていただきます。一般の神楽の鈴は、三段が多いようですが、こちらの鈴は二段です。ためしに、鈴の数をかぞえてみると、どちらも下の段に七個、上の段に五個ついています。この二つの鈴をどのように使い分けているのでしょうか。「それぞれ音が違うんですよ。ほら、こちらは軽い音(シャラン)、もうひとつは低い音(ショロン)。どちらを使うかは好みですが、私は低い方が好きですね」。そばで聴き比べると、確かに音の表情がずいぶん異なります。
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