戦時下最大の思想・言論弾圧とされる「横浜事件」を劇団「青年劇場」(東京都新宿区)が舞台化し、11月に上演する。神奈川県警特別高等課(特高)に逮捕された当時の中央公論編集長、故藤田親昌(ちかまさ)さんの長男で劇作家のふじたあさやさん(83)が書き下ろし、演出も担う。「『共謀罪』法が施行された今だからこそ、言論弾圧の恐ろしさを知ってほしい」と話す。 1942~45年、中央公論や改造社、朝日新聞社などの言論・出版関係者ら約90人(氏名不詳者を含む)が「共産主義を宣伝した」などとして治安維持法違反容疑で特高に逮捕された。総合誌「中央公論」「改造」は廃刊に追い込まれ、拷問による取り調べで4人が獄死、約30人が有罪判決を受けた。のちの再審で免訴判決が確定。横浜地裁は2010年、刑事補償を認める決定をして実質的な「無罪」判断を示した。 親昌さんは44年に逮捕され、拷問を受けた。少年時代、ふじたさんは特高