日本に帰ったらあれもやりたい、これもやりたいと夢見ていたはずなのに、実際に帰ってみると、心ここにあらずの日々。スペインに過剰適応して、日本での生活が気の抜けた日々の連続のように感じられるのです。 朝起きたら、何も考えずにパッキングを済ませて歩き出すという巡礼の日々は、肉体的には苦しくても精神的にはなんと楽だったでしょうか。余計なことは何も考えなくて済むのですから。 そもそもスペイン巡礼を思い立った理由の一つは両親の供養です。 子供が親から最初に贈られるギフトは名前だと言われますが、私の本名は「明子」です。一つ上の兄は凝りに凝った名前なのに、どうして私はこんな平凡な名前にされたのか、女だから親の期待も小さかったのかとひねくれて考えたものです。 アメリカ人にとって「アキコ」という名前は発音しにくく、せめて読みだけでもちょっとひねって「メイコ」にしてくれたらよかったのにと思ったこともあります。M