衆院憲法審査会に参考人として出席した憲法学者三人全員が安全保障関連法案を「違憲」と言明したのを受け、衆院特別委員会の審議の最大の焦点が、法案の中身から法案の違憲性に移った。「違憲ショック」で法案の正当性が根幹から揺らいだことで、政府・与党は防戦を強いられた。(木谷孝洋、竹内洋一) 四日の衆院憲法審査会で自民、公明の与党と次世代の党が推薦した長谷部恭男早大教授は、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を解禁した憲法解釈変更に基づく安保法案について「従来の政府見解の論理の枠内では説明できず、法的安定性を揺るがす」と指摘。小林節慶応大名誉教授(民主党推薦)と笹田栄司早大教授(維新の党推薦)も「違憲」と言い切った。 五日の特別委は、専門家三人の「違憲」発言を受けて審議の潮目が変わった。それまでは、どういう状況なら集団的自衛権の行使が許されるのかの基準に議論が集中していたが、法案の違憲性が中心になった。