「経済における国家の役割は何か」とたずねられて、どんなイメージを持つだろうか。国家とは、官僚的で融通が利かないもの、できることがあるとすれば、民間企業の自由な活動を邪魔しないようにすること――。特に先進国では、そのような見方が一般的だろう。しかし、本書の著者であるイギリスの経済学者マリアナ・マッツカート氏によれば、歴史的に見て、企業家精神を持ち、経済成長の原動力となるイノベーションを起こしてきたのは国家なのだという。 私たちの多くが抱いている「役に立たない国家」というイメージからすると、にわかには信じがたいこの主張を、著者はiPhoneや風力発電、太陽光発電の例を挙げながら、一つずつ鮮やかにくつがえしていく。「企業家としての国家」の性質が最もよく表れた例は、意外にも日本にあるのだと著者は指摘する。1960~80年代に日本経済が驚異的な成長を遂げることができたのは、日本政府が将来を見据えた構
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