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  • 二十一世紀の日本の首都に於ける超高層ビルの林立はその国の凋落を予言しているように思えてならない|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

    蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第15回を「ちくま」9月号より転載します。延々とつづく渋谷駅周辺の再開発。東横線の地下化はじめ誰も便利になったとは思っていないはずの一連の大工事は都市再開発法によると「公共の福祉に寄与することを目的とする」そうなのだが、当に? との疑問についてお話しさせていただきます。 避けようもない暑い日ざしを顔一面に受けとめながら、タワーレコードの渋谷店で購入した海外の雑誌を手にしてスクランブル交差点にさしかかると、すんでの所で信号が赤となってしまう。階段を降りて地下の通路に向かう方法もあるにはあったが、年齢故の足元のおぼつかなさから灼熱の地上に立ったまま青信号を待つことにしていると、いきなり、かたわらから、女性の声がフランス語で響いてくる。ふと視線を向けると、「そう、シブーヤは素晴らしい」と「ウ」の部分をアクセントで強調しながら、スマホを顎のあたりにあてた外

    二十一世紀の日本の首都に於ける超高層ビルの林立はその国の凋落を予言しているように思えてならない|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2023/10/06
    "「公共の福祉」とはいっさい無縁の無自覚な振る舞い""そんな連中は、ドバイにでも赴任させればよろしい。""二十一世紀の日本に於ける超高層ビルの林立は、国そのものの遠からぬ凋落を予言" →ドバイの扱い
  • 重要なのは「マイナ・保険証 一本化」への賛否などではなく「マイナ」という醜悪な語彙を口にせずにおくことだ|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

    蓮實重彥さんの連載時評「些事にこだわり」第14回を「ちくま」7月号より転載します。いまなおメディアをにぎわせつづける「マイナ」という略語が誰にとっての「マイ」かも判然としないまま、むしろそれを覆い隠さんとするかのように醜く繁茂する邦の惨状について。 解約するのが億劫なのでつい自堕落に購読し続けている首都圏向けのさる地方紙によると、ついせんだっての朝刊の一面に「保険証廃止し統一/マイナ改正案可決」の文字が二行にわたって比較的大きな活字で印刷され、その下に「参院特別委」の文字が横組みで読める。だがそれにしても、この「マイナ」とはいったい何か。それがいかなる言葉の略語であろうぐらいのことは、およその想像がつく。だが、それにしても、「マイナ改正案」なる雑駁な語彙は、いくら新聞社が「マスメディア」としての機能を放棄しつつある冬の時代だとはいえ、日刊紙の一面に堂々と印刷さるべきものなのだろうか。 リ

    重要なのは「マイナ・保険証 一本化」への賛否などではなく「マイナ」という醜悪な語彙を口にせずにおくことだ|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2023/10/06
    "「マイナ」などという醜悪な略語を新聞紙面によって世間に広めてしまったことの責任をみずから問おうともしない記者たちの社会意識の稀薄さこそが問題""「マイナ」というグロテスクな語彙の使用" →ほんそれ
  • 【第157回】「ジャニーズ問題」が暴き出したもの|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま

    ただいま話題のあのニュースや流行の出来事を、毎月3冊の関連を選んで論じます。書評として読んでもよし、時評として読んでもよし。「を読まないと分からないことがある」ことがよく分かる、目から鱗がはらはら落ちます。PR誌「ちくま」2023年6月号より転載。 四月一二日、元ジャニーズJr.のメンバーだった男性が自らの被害体験を実名で証言。ジャニーズ事務所の創業者・故ジャニー喜多川氏の性的虐待事件が波紋を広げている。 喜多川氏については「週刊文春」が1999年に少年たちへの性的虐待を「セクハラ」と報じ、名誉毀損で訴えられるも、東京高裁は「セクハラ」に関する記事の重要部分は真実と認定した(2004年に判決が確定)。また今年三月には、この件を告発したイギリスBBCのドキュメンタリー番組が放送されている。 同様の事案として想起されるのはカトリック教会の性的虐待事件である。02年にアメリカのボストン・グロ

    【第157回】「ジャニーズ問題」が暴き出したもの|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2023/10/06
    "足穂は(そしてフロイトも)、年長者、権力者の側からしか少年愛を見ておらず、襲われる少年の側の都合は一顧だにされていない。これは同性愛の是非とは別次元の問題である。" →ブックマーク
  • 〈1〉推しの結婚相手が匂わせ女で、しんどいです……|あなたの悩み、世界文学でお答えします。|堀越 英美|webちくま

    「恋のツラみ」から「人づきあいのもつれ」、「職場でのつまずき」、「人生の難問」まで、世界文学をとおして、数々のお悩みに答えていく堀越英美さんの連載、始まります! 【お悩み】  推しアイドル結婚してしんどいです。嫉妬ではありません。すばらしい女性との結婚だったら、推しの部屋の壁になって二人のイチャイチャをずっと眺めていたいくらいです。でも結婚相手は、付き合っていることをSNSでこれみよがしに匂わせていたつまらない女なんです。私が推しにつぎ込んだお金が、匂わせ女の養分になるのかと思うと納得がいきません。 【お答え】 匂わせ女”とは正反対の、恋の火力を調整できる人間になろう! ◆〝強火〟のヒロインが恋した相手は…… あこがれの人が、気に入らない相手と結婚する。いくら不愉快でも、ファンの立場で-ことはあまりない。人の好いた惚れたは、いくら課金したところで、赤の他人がコントロールできるものではな

    〈1〉推しの結婚相手が匂わせ女で、しんどいです……|あなたの悩み、世界文学でお答えします。|堀越 英美|webちくま
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2023/06/14
    "ジェインは炎のような女性だが 炎をコントロールする力も人一倍強い""都合のいい妄想物語と片づけられることなく世界文学になれたのは、このストイックなジェインのキャラクターによるところが大きい" →忍耐の文学
  • 【第150回】統一教会と自民党、その恐るべき癒着の構造|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま

    ただいま話題のあのニュースや流行の出来事を、毎月3冊の関連を選んで論じます。書評として読んでもよし、時評として読んでもよし。「を読まないと分からないことがある」ことがよく分かる、目から鱗がはらはら落ちます。PR誌「ちくま」2022年11月号より転載。 安倍晋三元首相の銃撃事件をきっかけに、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)への批判が高まっている。最大の焦点は、強引な献金の強要、そして政治家との長年にわたる癒着である。 統一教会がもっとも耳目を集めたのは、合同結婚式が大きく報道された1992年だった。霊感商法が話題になったのもこのころだ。翌93年には合同結婚式に参加した元五輪選手の脱会などが話題になるも、九四年には報道も鎮火。95年にはオウム真理教事件が起きて、統一教会問題は世間から忘れられてしまった。 その当時からすでに三〇年の月日がすぎた。思いがけない形で、旧統一教会の問題が再燃した

    【第150回】統一教会と自民党、その恐るべき癒着の構造|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2023/04/21
    "2000年代前半、すなわち小泉政権時代の統一教会と政治の関係である。たとえば小泉訪朝に教団の関与はなかったのか。両者のあまりにも深い絆を知ると、すべてを疑りたくなってくる。" →ブクマ。
  • 生活困窮者を前に新しい児童図書館は有効か①|重箱の隅から|金井 美恵子|webちくま

    隔月連載を一回休む(体調のせいによって)となると、なんとなく時間の流れが変化するという傾向があるのかどうかは、何度も経験したわけではないのでわからないものの、次回の連載に書くつもりでいた事に対して、熱意、、がなくなるような気分になるのはどうしたことか。 もちろん、この連載エッセイのタイトルから察せられるように、言い方を変えれば不要不急のことについて書いているわけなのだが、それ、、が一体いつ、、だったのか、その一部分を除いてすぐにはもう思い出すのが困難な、テレビ中継で見た殺害された元首相の、いつの間にか決まって、いつの間にか行われた国葬である。元文部科学事務次官の前川喜平のエッセイ(「ユウエンナルスメラミクニ」東京新聞 ʼ22年10月2日「音のコラム」)を読んで、自衛隊音楽隊が演奏していた儀式用らしき曲の正体がわかったのだったが、国葬について書かれた新聞記事もテレビのニュースでも、それが

    生活困窮者を前に新しい児童図書館は有効か①|重箱の隅から|金井 美恵子|webちくま
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2023/02/10
    "までそんなことを言ってもしかたがないのだが、あきれかえる額で膨張した防衛費というより軍備に自衛隊の儀仗兵たちの歩き方を査定するとなれば、とても釣り合っているとは思えない。" →返金請求レベル
  • 一百四十五箇条問答|ちくま学芸文庫|石上 善應|webちくま

    7月刊のちくま学芸文庫、『一百四十五箇条問答――法然が教えるはじめての仏教』より、石上善應氏による解説を掲載します。浄土宗勧学として多くの人々に法然の教えを伝えてきた石上氏は、この問答集の根底にある「同体の念仏」こそが重要なのだと説きます。 同体の念仏をこそ 法然は一度も会ったこともない、中国・唐の善導を「我が師」として尊崇した。その善導は『観無量寿経』の註釈書である『観経疏』玄義分の中で、 「(浄土の教えは)定んで凡夫のためにして、聖人のためにせず」 と教えさとした。それを受けて、法然はかく申したのであった。 「われ浄土宗を立つる意趣は凡夫の往生を示さんがためなり」(醍醐『法然上人伝記』) 凡夫とは「悟りに達していない、凡庸浅識の人」(『岩波古語辞典』)とある。そのような凡夫のために浄土の教えはあるのであり、浄土宗はまさに、凡夫が往生するためのものであるという。 善導には「念念の称名は

    一百四十五箇条問答|ちくま学芸文庫|石上 善應|webちくま
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    haruhiwai18 2022/12/15
    "「「一文不通」の平安貴族」(鈴木理恵""平安貴族には当然持つべき読み書きの能力がすべて不足していて、自己がなすべき仕事の担当ができていないことなどが記録から分り、すでに貴族としての資格がない" →ブクマ
  • オミクロンの時代を生き抜くための「本当の知識」とは?【後編】|特集対談|小野 昌弘,海堂 尊|webちくま

    コロナ感染の重症化のメカニズムから、ワクチンや免疫の性質まで、科学的な知見に基づいて平易に解説した『免疫学者が語る パンデミックの「終わり」と、これからの世界』。その著者で、インペリアル・カレッジ・ロンドンのReader in Immunology(准教授)の小野昌弘さんと、外科医・病理医としての経験を生かした、リアリティあふれる医療現場の描写で現代社会の病理を衝く小説を発表してきた海堂尊さん。このお二人に、前・後編の2回にわたって、存分に語り合っていただきました。 ワクチン開発と今後の見通し 海堂 今、医療スタッフの感染も多いですが、医療機関に余裕がないと診療機能の維持は難しい。ここに「働き方改革」が重なり、医療現場にこれまで以上の負荷がかかっているところに、働き方も抑えるようにとなっているので、合理的な改革が必須です。現場の先生たち、医療従事者の方々のご苦労はほんと大変です。今、メディ

    オミクロンの時代を生き抜くための「本当の知識」とは?【後編】|特集対談|小野 昌弘,海堂 尊|webちくま
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2022/09/09
    "国税を100億投入され、公約も果たせずデータも公開しない「アンジェス」は、税金泥棒だと思います。しかもそれを国が黙認している。どうお金を使い、データを公開しないのでは国もグルなんじゃないか" →これ。
  • オミクロンの時代を生き抜くための「本当の知識」とは?【前編】|特集対談|小野 昌弘,海堂 尊|webちくま

    コロナ感染の重症化のメカニズムから、ワクチンや免疫の性質まで、科学的な知見に基づいて平易に解説した『免疫学者が語る パンデミックの「終わり」と、これからの世界』。その著者で、インペリアル・カレッジ・ロンドンのReader in Immunology(准教授)の小野昌弘さんと、外科医・病理医としての経験を生かした、リアリティあふれる医療現場の描写で現代社会の病理を衝く小説を発表してきた海堂尊さん。このお二人に、前・後編の2回にわたって、存分に語り合っていただきました。 オミクロンBA.5による第7波について 海堂 最初に、免疫学の専門家の小野先生に伺いますが、日は今、第7波といえる状態でしょうか。 小野 ええ、第7波だと思います。昨年末からオミクロンの大波があり、感染者数が上下しつつ、少しずつ変異しながら流行が続いているのです。 海堂 その波の繰り返しだということが一般の市民には伝わりにく

    オミクロンの時代を生き抜くための「本当の知識」とは?【前編】|特集対談|小野 昌弘,海堂 尊|webちくま
    haruhiwai18
    haruhiwai18 2022/09/09
    "英国議会…ことあるごとに調査委員会を立ち上げ、延々と調査し続ける""日本のやり方が素晴らしかったというなら、努力した市井の人々に報いなければいけないんじゃないのかな。そういう話も出てこない" →ブクマ。
  • アカデミー賞という田舎者たちの年中行事につき合うことは、いい加減にやめようではないか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま

    蓮實重彥さんの短期集中連載時評「些事にこだわり」第7回を「ちくま」5月号より転載します。2022年3月、北米の一角のお祭り騒ぎと無縁に起こってしまった真の映画史的損失について――。 一応は大スターと呼んでおこうウィル・スミスさん――新聞の表記に従う――によるさるコメディアンの顔面平手打ち事件で記憶されることになりそうな今年のアカデミー賞授賞式だが、それ以前から令和日のマスメディアはかなりの盛りあがりを見せていた。それは濱口竜介監督の名前が複数の部門に候補として挙げられていたからにほかなるまいが、いったんノミネートされたからには貰っちゃうにこしたことはないのだから、『ドライブ・マイ・カー』(二〇二一)で「国際長編映画賞」を手にして、お前さんがオスカーかよとつぶやいた濱口監督にとって、それはひとまず目出度いことだったといってよかろうと思う。 おかげで、日国の某官房長官までがしゃしゃり出て、

    アカデミー賞という田舎者たちの年中行事につき合うことは、いい加減にやめようではないか|些事にこだわり|蓮實 重彦|webちくま
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    haruhiwai18 2022/06/03
    "『ドライブ・マイ・カー』という作品の「日本性」の濃淡…""それなら…カサベテスの『ハズバンズ』(一九七〇)について、それが「アメリカ的」かどうかといった愚かな問いをいったい誰が発するだろうか" →これ。
  • 第八回 女たちは石山寺をめざす|妄想古典教室|木村 朗子|webちくま(1/4)

    如意輪観音といえば、大阪、観心寺尊のように、一つの頭に腕が六ある、一面六臂(いちめんろっぴ)像が思い浮かぶ[fig.2]。第一、如意輪と言っているのだから、如意宝珠と法輪を持っている姿であってほしい。観心寺像は、右手第二手が胸元で如意宝珠を捧げ、左手第三手が上向きに立てた人差し指の上に法輪をのせている。右手第一手が右頬に軽くさしあてられて思惟のポーズをとり、その他の持物は右手に念珠、左手に蓮華で、これらは多くの一面六臂像に共通する。 観心寺像は、嵯峨天皇皇后、橘嘉智子(786-850)の発願で、承和九年(842)の嵯峨天皇崩御の頃に造立されたものという。木造にほどこされた彩色が今も鮮やかなのは、秘仏として厨子に入れられたまま祀られてきたせいであろう。ふっくらとした顔つきに、赤く彩られた形のよい唇。美女を表現するときにいう柳眉そのもののような長く曲線を描く繊細な眉。そっと頬にそえられた右

    第八回 女たちは石山寺をめざす|妄想古典教室|木村 朗子|webちくま(1/4)
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    haruhiwai18 2021/10/25
    "『紫式部日記』や『源氏物語』のどこを探しても石山寺詣でのことが出てこない""四辻善成がつつましく須磨巻を着想した、といっているのをあえて無視しているあたりに四辻説を過大に利用した感じが" →石山寺。
  • 第四回 男同士の恋愛ファンタジー|妄想古典教室|木村 朗子|webちくま(1/6)

    中世稚児愛物語 稚児物語は、美少年たる稚児と僧侶の恋愛を描いたものだが、中世には継子いじめの物語などと並んで、人気を博した物語の一ジャンルであった。そういうお話はまったくのフィクションだったかというと、そうではまったくなくて、稚児への想いをつづった僧侶の歌が、勅撰集の「恋」の部立てに入首していたりもする。たとえば後白河院に命により藤原俊成によって選られた『千載和歌集』(1187)の「恋歌」672番歌には、仁昭法師の次の歌がある。 横川の麓なる山寺にこもりける時、いとよろしき童のはべりければよみてつかはし    ける 世をいとふはしと思ひし通い路にあやなく人を恋ひわたるかな 比叡山の寺にこもっていたときに「いとよろしき童」に出逢っているのだから、ここに女がいるはずもなく、お相手の童は男子なのであり、この世を厭い捨てるきっかけとなるはずの比叡山の通い路たる橋で出逢った人をどういうわけだか恋

    第四回 男同士の恋愛ファンタジー|妄想古典教室|木村 朗子|webちくま(1/6)
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    haruhiwai18 2021/10/25
    "『ロミオとジュリエット』を描いたシェイクスピアばりの筋である。どうも山門と寺門の二人が恋をするというのは当時実際にあったようで、『後拾遺和歌集』741番歌に、次の歌がある。…" →ブクマ。
  • 第32回:中曽根康弘合同葬から想いを馳せて。大政翼賛化する日本と現代の阿Qたち|悪いキツネをおさえつけることはできない|丸屋 九兵衛|webちくま

    オタク的カテゴリーから学術的分野までカバーする才人にして怪人・丸屋九兵衛が、日々流れる世界中のニュースから注目トピックを取り上げ、独自の切り口で解説。人種問題から宗教、音楽歴史学までジャンルの境界をなぎ倒し、多様化する世界を読むための補助線を引くのだ。 さらば、昭和の大宰相! 過日、しめやかにも大々的に行われたのは、中曽根康弘101歳の大往生を記念した祭りである。 世が世なら、社会主義国家「日人民民主主義共和国」を率いる日統一労働党・書記長となっていた――そして、「伝説の反政府ゲリラ」田中角栄と戦っていた――はずの中曽根。だが、曹操が「治世の能臣」と形容されたのにも似て、GHQ支配体制以降の日に適応した結果、こうなったのだな。 .............................................................. そんな中曽根康弘は、聴く者の魂

    第32回:中曽根康弘合同葬から想いを馳せて。大政翼賛化する日本と現代の阿Qたち|悪いキツネをおさえつけることはできない|丸屋 九兵衛|webちくま
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    haruhiwai18 2021/10/21
    "中曽根のイヌとなった古田は班長に抜擢される""「これまで天皇陛下に迷惑をかけてきたから、ここらでご恩返し」。なんだろう、このまっすぐで、ピュアで、気持ち悪い奴隷根性は" →風見鶏と犬。
  • 「滅私奉公」は内面化されたのか?|ちくま学芸文庫|松田 宏一郎|webちくま

    戦時体制を支えた陸軍将校とはいったいどういう存在だったのかを問うた『陸軍将校の教育社会史』。書の読みどころや意義について、『江戸の知識から明治の政治へ』などの著作がある、立教大学教授の松田宏一郎さんによる解説を転載します。 一 体系化されたカリキュラムに基づく知識教育と一定の実地訓練をこなさなければ就くことのできない職業を、一般に専門職(プロフェッション。その職能団体を指すこともある)と呼ぶ。だいたいは法制度や同業者による認証制度でそうなっているが、すぐに思い浮かぶのは医師や法律家である。そして、軍の将校も典型的な専門職である。専門職としての将校の登場は近代化の重要な指標の一つと見なされ、一九九〇年頃までには、アメリカやヨーロッパで、将校教育のシステムや当事者の社会的役割・立場の自己認識について、社会学・歴史学などの分野で相当の研究蓄積ができていた。これに対し日では、歴史社会学的分析対

    「滅私奉公」は内面化されたのか?|ちくま学芸文庫|松田 宏一郎|webちくま
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    haruhiwai18 2021/07/15
    "陸軍士官学校予科の「倫理」科目の狙いに「批判力を養う」ことさえも説かれているが、これは自己の思考プロセスを反省する能力という意味の「批判」ではなく、軍に都合の悪い考え方や態度を嗅ぎ分ける能力" →空気
  • 医者の言葉、小説家(と批評家)の言葉①|重箱の隅から|金井 美恵子|webちくま

    原因と言えば、原稿を書きながら必要なを探すこと、とも言える。書架が上段と下段にわかれているスライド式棚の下段の奥を探し、頭を持ちあげた瞬間、棚板の下にかなり強くぶつけてしまったのだ。 を探していて棚の上のほうから落ちてきたの角で鼻の頭に小さな傷を作ったり、足の指を痛めたり、スライドする書棚と書棚の間に手をはさんだり、という、いかにも運動神経の鈍い者が負いそうなケガとは言えないちょっとした痛みは、大した分量ではないのに整理されていないを探すたびに年中経験することなのだが、確かにあの時の痛みはおさまるのにいつもより時間がかかり、2カ月後に右半身に軽い痺れが断続的におき、MRIとCTスキャンの検査をして慢性硬膜下血腫という診断を受け、3月のはじめまで通院することになったのだった。 慢性硬膜下血腫は、高齢の男性に多い疾患で、転倒で頭部をぶつける「軽微な頭部外傷」が原因、「歩行障害」や「認

    医者の言葉、小説家(と批評家)の言葉①|重箱の隅から|金井 美恵子|webちくま
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    haruhiwai18 2020/08/21
    "質問に対して「ぎりぎり持ちこたえている状態」と答えたのだったが、昔から使われているこの病状の説明用語が、いったい 「持ちこたえている」の主体は誰というか何なのか、まったく訳がわからないのだ" →ほんそれ
  • 【第119回】LGBTのドラマは増えたけど|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま

    ただいま話題のあのニュースや流行の出来事を、毎月3冊の関連を選んで論じます。書評として読んでもよし、時評として読んでもよし。「を読まないと分からないことがある」ことがよく分かる、目から鱗がはらはら落ちます。PR誌「ちくま」2020年3月号より転載。 LGBTを肯定的に描いたテレビドラマが増えている。 たとえばテレビ朝日系の「おっさんずラブ」(二〇一八年四月~六月)。不動産会社の東京営業所を舞台に、女子にはもてない社員の春田創一(三三歳・田中圭)と部下の春田に恋した営業部長黒澤武蔵(五五歳・吉田鋼太郎)を軸にした、これはオリジナルのラブコメである。仕事の話と偽ってデートに誘う、嫌がる相手にしつこく迫るなど、黒澤部長のやり方がセクハラ上司そのものである点がひどく気にはなるものの、同じく春田に恋する後輩の牧凌太(二五歳・林遣都)が参戦したことで物語は春田をめぐる恋愛バトルに発展。好評につき、

    【第119回】LGBTのドラマは増えたけど|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま
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    haruhiwai18 2020/04/08
    "性の多様性について教えていない学校がほとんどの日本では、まだまだお寒い状況だ。ドラマはLGBTを感覚的に肯定するキッカケにはなっても、それでわかることはわずか""本で勉強してください。" →すごい重要。
  • 【特別掲載】大疫病の年に|特別掲載・大疫病の年に|マイク・デイヴィス,重田 園江|webちくま(1/2)

    2019年末、中国・武漢に発したとされる新型コロナウィルスは、第二次大戦後最悪ともいわれるペースで世界各地に感染を広げています。なぜ現代世界は新種のウィルスにかくも脆弱になってしまったのか。世界でいま何が起こっていて、これから何が私たちを待ち受けているのか。『感染爆発』などの著作があるアメリカの社会学者マイク・デイヴィスがその核心に肉薄した最重要論考を、Jacobin誌の許可を得て特別に掲載します。 コロナウィルスが世界を駆けめぐっている。われわれの治療能力は言うに及ばず、検査能力すら追いつかないスピードで。いつか出現すると危惧されてきたこの怪物ウィルスは、とうとうすぐそこ、玄関口までやってきた[i]。このようなバイオ危機に対してグローバル資主義は全く無力なので、国際的規模のきちんとした公的保健インフラを要求していかなければならない。 コロナウィルスは古い映画のようだ。1994年のリチャ

    【特別掲載】大疫病の年に|特別掲載・大疫病の年に|マイク・デイヴィス,重田 園江|webちくま(1/2)
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    haruhiwai18 2020/04/08
    "資本主義によるグローバル化は、真に国際的な公的保健インフラなしには、いまや生物学的に持続不可能""民衆運動によって巨大製薬会社と利益優先のヘルスケアが持つ権力が打ち破られなければ" →反ネオリベ
  • 7.ケンドリック・ラマーと黒のグラデーション|アメリカ音楽の新しい地図|大和田 俊之|webちくま(1/4)

    トランプ後のアメリカ音楽はいかなる変貌を遂げるのか――。激変するアメリカ音楽の最新事情を追い、21世紀の文化政治の新たな地図を描き出す! 2016年2月15日。ロサンゼルスで開催された第58回グラミー賞授賞式におけるケンドリック・ラマーのパフォーマンスは異様な雰囲気に包まれた。 俳優ドン・チードルの紹介に続いてステージが暗転すると、ケンドリックを先頭に手足を鎖に繋がれた数人の黒人が現れる。舞台には牢獄のセットが組まれ、両脇の鉄格子の中にはサックスを演奏する囚人もいる。鎖を付けたままマイクの前に立ったケンドリックは、大音量のバンド演奏とともに〈ザ・ブラッカー・ザ・ベリー〉をラップし始める。曲の後半、鎖をちぎったダンサーたちが激しい踊りを繰り広げ、暗闇の中で囚人服のスケルトン模様が蛍光色に発光する。するとステージが転換し、今度は中央に設置された巨大なかがり火を囲むようにアフリカを思わせる部族

    7.ケンドリック・ラマーと黒のグラデーション|アメリカ音楽の新しい地図|大和田 俊之|webちくま(1/4)
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    haruhiwai18 2020/03/02
    "歴史的に肌の色の薄い黒人が屋内の業務に従事し(ハウス・ニグロ)、より高いステータスを保持していたのに対して、肌の色の黒い黒人が屋外での過酷な仕事に就いていた(フィールド・ニグロ)奴隷の分断" →重要
  • 【第109回】富山県の「幸福度」と日本の未来|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま

    ただいま話題のあのニュースや流行の出来事を、毎月3冊の関連を選んで論じます。書評として読んでもよし、時評として読んでもよし。「を読まないと分からないことがある」ことがよく分かる、目から鱗がはらはら落ちます。PR誌「ちくま」2019年5月号より転載。 唐突だけど、富山について考えてみたい。 富山県の一般的なイメージはどんなものだろう。薬売り、チューリップ、鱒ずし、ほたるいか? そんなものですかね。私としては魚津の米騒動と蜃気楼とか、高岡城と城下の金屋町とか、世界遺産・五箇山の合掌造り集落とかを入れておきたいところだけれど、ま、いずれにしても旅行者目線でしかない。 しかし近年、富山県は、あるいは北陸はべつの意味で注目されているのである。大きな理由は、「都道府県幸福度ランキング」で北陸三県が常に上位を占めていることだ。 「都道府県幸福度ランキング」とは、一般財団法人・日総合研究所(会長・寺

    【第109回】富山県の「幸福度」と日本の未来|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま
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    haruhiwai18 2019/05/22
    "個人の自立度、男女平等度、夫婦の家事分担度、LGBTの権利関係などは、勘案されないのですかね。""疑問を持つのは、気候風土や災害の危険性が指標化されていない…" →身もふたもない(正しい)
  • 【第99回】加計問題の裏にある国家戦略特区とは何か|世の中ラボ|斎藤 美奈子|webちくま

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    haruhiwai18 2019/02/15
    "二〇〇六年の時点で、一三〇カ国・三五〇〇区域の特区が存在し、その後も増え続けているが、そのほとんどは途上国に設置され""だが日本では「特区=規制緩和」という勘違いの下で…" →ここが重要だな