経済評論家から東大教授まで、「脱デフレには賃金アップ」と言うのを聞くと、実態的な経済が共有認識に至っていないのだなあと思う。多くの場合、「設備投資増→雇用増→所得増→消費増」となるのだから、いきなりの賃金アップを構想しても虚しい。さらに、その設備投資もまた、実現させるには、順序というものがある。 それは、「金融緩和→輸出増・住宅増・財政増→需要増→設備投資増」である。ポイントは、経済学の教科書にはない、金融緩和から設備投資増までの間に「はさまっているもの」である。こういう理解があると、経済の動向に対する眺望は格段に良くなる。反対に、この理解がないと、「金融緩和をしてるのに、なぜ景気は回復しない」と首を捻るばかりとなる。 ……… 例えば、米国経済で言えば、リーマンショック後は、大胆な金融緩和をしても、住宅バブルで投資が積み上がっていたから、なかなか効かなかったし、製造業が弱体化していたので、