ブックマーク / blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba (34)

  • 8/22の日経 - 経済を良くするって、どうすれば

    「平成14年度 企業行動に関するアンケート調査報告書」がレファレンスの8月号で引用されていて、懐かしかったね。古いデータだが、経営者は、金利なんて見てなくて、需要で設備投資を判断しているというものだ。収益水準も見てるけど、平たく言えば値段で、値引きしなくても売れるかである。他社の動向も割とあるのは、儲からなくても投資しないと負けてしまうからだ。 その後の日は、緊縮で需要が波及しないものだから、輸出と設備投資の相関関係が強くなり、予測値がGDPの1次速報より正確なんてことまで起こった。景気を予測する立場からは、シンプル過ぎてバカバカしくなるほどである。これで金利が投資を調節するという説を信じろと言うほうが無理で、金融政策は、円安による輸出増という経路でしか効かないという結論になる。 7月の輸出は、実質を示す数量では低下傾向が続く。でも、足下では、消費が伸びて景気は上向いてきた。輸出次第の日

    8/22の日経 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 12/13の日経 - 経済を良くするって、どうすれば

    日銀は家計調査の乖離に悩んでいるのか。もともと家計調査は解釈が難しい統計で、オールドなケインジアンの筆者は、消費を読むのに、商業動態と足して二で割るみたいなことをしていたよ。今は統計局CTIマクロがあるので、随分と楽になった。家計調査が他の統計と合わないときは、勤労者世帯の名目可処分所得をチェックし、毎月勤労統計の動きと比較する。今回は、雇用×時間に似ているから、この辺りのサンプル変動が原因かと思う。家計調査でも足下の勤労者世帯の名目消費は上向いているし、消費は大丈夫じゃないかな。 (図) (今日までの日経) 定額減税、年収2000万円超は対象外に。客送迎に2種免許不要。値上げ、モノ→サービスに 企業物価。子育て財源、早くも綻び 少子化対策拡充、年3.6兆円 介護2割負担の拡大は先送り。割れる消費統計、悩む日銀。建築費、人手不足で上昇 資材高は一服。 ※企業物価については、メカニズムを知る

    12/13の日経 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 少子化がマズいと思うなら、このくらいやろうよ - 経済を良くするって、どうすれば

    ~1.8兆円の再分配による少子化の緩和と非正規の解放~ この世界で生き続けること、その全てを愛せる様に、祝福を君に はじめに 2022年の合計特殊出生率は、過去最低の水準にまで落ち込む。これは、経済的にも、社会的にも危機的な状況だ。子世代が1.67倍もの損な負担を被るどころか、人口が崩壊して社会の維持が困難になる。この国に生まれたこと、この時代で生き続けることが、当に無理なものになっている。だけど、これは運命ではない。少子化の緩和に成功している先進国がある以上、政策的な結果でしかない。受け入れるしかないと思うのは、誰かが描いたイメージや、誰かが選んだステージに、甘んじているだけだ。 日少子化の圧力を跳ね返せなかったのは、若者への経済的な支援が薄かったせいである。いまだ、非正規には、育児休業給付もない。0.7兆円あればできるのに、そうなるのは、「財源がない」とする論理だ。税の自然増収が

    少子化がマズいと思うなら、このくらいやろうよ - 経済を良くするって、どうすれば
  • 「壁」問題と一律賦課の無理さかげん - 経済を良くするって、どうすれば

    「106、130万円の壁」について、社保審年金部会の議論が始まったが、説明資料を眺めると、あまりやる気を感じられないね。浮かんでくるストーリーは、「対象の人は限られるし、損得での誤解もあるし、制度を変えようとすると、公平性などで難しい問題が出てくるから、弥縫策で勘弁してくれ」というところかな。そして、最後に英国の例を出し、「気でやるなら、こうなるが、再分配の強化なんか、政治はできないでしょ」と語っているかのようだ。 ……… 「壁」は、低所得層にも一律に賦課することの無理さかげんの一つの断面である。なにせ、年金や医療等の社会保険料の計31.65%に、消費税が10%課された上に、所得税・住民税が1.5%程かかってくる。低所得で、こんなに取られると、生活は苦しいし、賦課から逃れようとするのも無理はない。こうした一律の重い賦課は、デフレ経済で賃金が上がらない中、引き上げを重ねてきた結果である。

    「壁」問題と一律賦課の無理さかげん - 経済を良くするって、どうすれば
    harumanachika
    harumanachika 2023/09/27
    “消費税なんて、財政当局は、定額還付を創設して、過酷さを緩めようとしたのに、政治が食料を低率にする所得一律を選択してしまった。”
  • 4-6月期GDP1次・消費と雇用者報酬の行方 - 経済を良くするって、どうすれば

    4-6月期GDPは、名目成長率が前期比+2.9%で、年率12.0%に達したが、前期比の寄与度は、内需が+0.2、輸出が+0.8であり、たまたまの輸入減が+1.8と大半を占める。輸出増は、前期に減った反動の範囲であり、海外景気からすれば、今後、水準を保つのがやっとだろう。成長を続けられるかは、消費が順調に伸びるかにかかっており、ベースになる可処分所得が十分に確保されるかになる。 ……… 消費は、所得が増せば伸びるという単純な関係にある。アベノミクスの成長率が低かったのは、雇用者報酬が伸びていたのに、税や保険料の負担増で可処分所得を減らして、消費を抑制したせいである。今回、1-3月期まで消費が大きく伸びたのは、コロナで抑制されていたものが解放されたためで、所得に対する消費の割合は、コロナ前と差がないレベルまで来ていた。ここからは、所得とともに伸びなければならない。 4-6月期の雇用者報酬は、名

    4-6月期GDP1次・消費と雇用者報酬の行方 - 経済を良くするって、どうすれば
    harumanachika
    harumanachika 2023/08/29
    “設備投資は、実質で輸出とパラレルに動くものなので、輸出とともに頭打ちになるのは致し方ない。輸出から離れ、消費に反応して伸びるようになったら、景気の回復は本物である。”
  • 金利で動かない設備投資を動かすもの - 経済を良くするって、どうすれば

    金融政策では設備投資は動かない。動かすのは輸出と住宅である。需要があれば供給を増やすべく設備投資をするという平凡な理屈である。他方、増税で消費を減らせば、消費向けの設備投資が萎むから、全体としては景気が加速せず、デフレが続く。なまじ、金利が投資を調整するという教科書的知識があると、かえって、現実が見えなくなり、リフレで解決といった「宗教」に陥るのである。 ……… 4-6月期GDP1次速報のグラフを素直に眺めると、設備投資の動向が輸出によく似ていることが分かるだろう。そこで、回帰分析という手法を用いて、輸出と住宅で予測値を作ると、ピッタリ重なってくる。専門的には、2010~19年をサンプルに、コクランオーカット法でゼロ切片にすると、重決定R2が0.999くらいになる。要するに、設備投資はほとんど説明できるという意味である。 2013年の黒田日銀の異次元緩和は、円安にして、輸出を増やし、設備投

    金利で動かない設備投資を動かすもの - 経済を良くするって、どうすれば
    harumanachika
    harumanachika 2023/08/29
    “金利が設備投資を動かさない以上、経済を安定させる中立金利は存在せず、最適な金利水準もないから、金融政策は本質的に無意味である。”
  • 住宅と為替に効いて設備投資に効かない金融政策 - 経済を良くするって、どうすれば

    米国の4-6月期GDPでは、設備投資の実質の前期比は年率で7.7%の高さだった。FRBの利上げが始まった昨年3月から1年以上経つのに衰えない。他方、住宅投資は、利上げ開始の直後から大きく減り、未だマイナスが続く。ドル高については、改めて言うまでもない。教科書では、金利で設備投資が調整されることになっているが、現実には、金利は住宅と為替には効いても、設備投資には効かないというのが経験則であり、今回も、いつもどおりになっている。 その設備投資が補助金などの産業政策で動くのかというと、これも違う。日経が半導体で報じているように、促進策で一時は盛んになっても、需要が見込めないと萎んでしまう。設備投資は需要に従って行うという個々の企業の行動原理そのものである。金融緩和と産業政策で収益率を高めると設備投資が増えるというのは、机上の空論で、そんなものを信じて実務に当たっていたら、ヤケドをしてしまう。理論

    住宅と為替に効いて設備投資に効かない金融政策 - 経済を良くするって、どうすれば
    harumanachika
    harumanachika 2023/08/23
    “金融緩和と産業政策で収益率を高めると設備投資が増えるというのは、机上の空論で、そんなものを信じて実務に当たっていたら、ヤケドをしてしまう。”
  • 税収は激増、出生は激減、必要な倍増計画 - 経済を良くするって、どうすれば

    11月の国の税収は、累計の前年同月比が+12.1%と極めて好調である。中間の納税月だった法人税は+31.0%にもなり、所得税は+11.6%、消費税は+6.1%と軒並み高い。11月までの実績に、GDPと企業業績の見通しを組み合わせて予測すると、2022年度の税収は72.8兆円になり、前年度決算から+5.7兆円もの伸びになる。2021年度の前年度比+6.2兆円に続き、アベノミクス期の平均増収幅2兆円の3倍近い異次元の税収増である。岸田政権の税収増の「倍増計画」は大成功を収めている。 岸田首相は、伊勢神宮参拝後の年頭会見で、出生の激減を受け、異次元の少子化対策に挑戦するとしたが、子ども予算の倍増をすれば、黒田日銀総裁が異次元緩和で2倍をキャッチフレーズにしたので、「異次元」になるという意味なのだろう。むろん、「子ども保険」などの負担増とセットになるので、そちらも倍増となる。激増の税収は、すべて財

    税収は激増、出生は激減、必要な倍増計画 - 経済を良くするって、どうすれば
    harumanachika
    harumanachika 2023/01/09
    “0~2歳については、正社員の女性なら、月13.5万円の育児休業給付を1年間受けた後、月21~19万円のコストがかかる1,2歳児の保育で「教育」を享受できるのに、非正規の女性には、いずれの支援もゼロである。”
  • 金融政策はなぜ効かないのか - 経済を良くするって、どうすれば

    2021年度は、1500億円しか社会保障費を増やしていないのに、税収が前年度決算から3.8兆円も伸びる。一時的なコロナ対策から抜ければ、それだけ財政再建が進捗することになる。2022年度も、社会保障費の自然増は6600億円のところ、税の増収は3.2兆円にもなるはずだ。こうしたデフレを促進する緊縮財政を併用していては、弱い力しかない金融政策が効奏するはずもない。21世紀の経済政策は、全体を見なければならない。 ……… 経済学の2柱は、需要と供給を調節する価格メカニズムと、貯蓄と投資を調節する金利メカニズムなのだが、遺憾なく力量を発揮する前者と違い、後者は存在を疑うほど脆弱だ。なぜなら、設備投資は、需要リスクという別の力に支配されているからである。常識的にも、企業は需要を見ながら投資を決めているし、消費者も金利を見ながら消費と貯蓄の割合を決めたりしない。柱なのに、現実味の乏しい「理屈」なのだ

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  • 世界経済史から見た日本の成長と停滞の理由 - 経済を良くするって、どうすれば

    この国が落ちぶれていることは分かっていたが、「日技術フロンティア国のギャップが1990年代以降のように著しく拡大するのは、鎖国の江戸時代末、太平洋戦争敗北の前後に次いで3回目」と、歴史上の大失敗に位置づけられるのは、この間を生きてきた者にとって、やるせないものがある。深尾京司先生の『世界経済史から見た日の成長と停滞』の終章の一節だ。いわば、「第三の挫折」である。ハシモトデフレ以来の失われた歳月は、衰退の時代として画されるに至った。 ……… 停滞の主因として、深尾先生は、労働生産性の上昇率の低下を挙げる。単なる人口や労働時間の減少だけでは説明がつかない。これは、実質賃金率が多くの国で大幅に上昇した中で、わずかしか上昇しなかったことに映し出される。そして、輸出競争力のために賃金率を切り詰める「窮乏化」からの脱出を目指すべきとする。 なぜ、労働生産性の上昇率は低下したのか。深尾先生は、高度

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  • 日本のセーフティネット格差の未来 - 経済を良くするって、どうすれば

    「雇用が不安定な者ほどセーフティーネットも脆弱」を指摘するのが酒井正先生の『日のセーフティネット格差』である。この問題を扱ったが日経・経済図書文化賞に選ばれたことは、長年、それを解決すべく具体策を提案してきたコラムとしても、大変、喜ばしく思う。酒井先生が言われるように、「非正規への適用拡大は、ファーストステップではあっても、セーフティーネットを充実させるとは限らない」というのも正に然りである。しかし、それすらも遅々としているというのが辛い現実だ。 ……… 社会保険は、保険料と給付が対になっているので、納付の期間と総額が限られる非正規の給付が乏しいものになるのは、仕方のない面がある。したがって、この関係を無くせないにせよ、どれだけ緩められるかが、目指すべき未来の「第二のセーフティネット」の形ということになる。具体的には、保険料をどれくらい、どのような形で公的に補助するのが良いかが焦点と

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  • 統計分布を知れば、経済学が変わる - 経済を良くするって、どうすれば

    こういう一冊を待っていた。松下貢著『統計分布を知れば世界が分かる』である。経済学ではリスクの扱いが要になる。経営者が利益を最大化すべく合理的に設備投資をするには、リスクを期待値として見積れなくてはならない。ところが、リスクは、分散が大きくなると対応が著しく困難になり、分散が無限大に発散するベキ分布では期待値の計算すら不能になる。それでは、実際の設備投資の変動はどういったものなのか。松下先生の手法を使いながら検証してみよう。 ……… 設備投資のようなマクロ経済のデータは、せいぜい月次のため、分布を描けるほどの数を揃えるには無理がある。そこで役立つのが、松下先生の提唱する「ランキング・プロット」という手法である。これを使うと、鉱工業の接続指数(1978.1~2017.12)の480個という限られた数でも、滑らかな累積分布関数の曲線を描くことができる。この手法を用い、資財生産(除く輸送機械)の

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  • MMT論議と将来世代の負担 - 経済を良くするって、どうすれば

    MMTは、貨幣論としては新しいのかもしれないが、マクロ経済の調整に財政を使う以上、「いつ、何を、どれだけ」という議論は避けられない。これは、古くからケインジアンを悩ませてきた問題である。MMTという新しい理論を用いれば、荒っぽい財政をしても、金融政策で長期金利や為替レートを完全にコントロールできると言うのなら別だが、そうではあるまい。また、ある程度は可能にしても、広くコンセンサスを得るよう、有効に財政を使うのに越したことはない。むろん、それには説明上の工夫もいる。 ……… MMTの前提は、インフレにならない程度に財政を使うというものだが、その物価上昇率が2~3%なのか、もっと高くても良いのか、消費者物価が安定していても、資産価格が高まったらどうするかなど、設定は簡単ではない。これは、失業率や賃金上昇率にも言えることだし、各指標で方向やスピードが揃わないこともある。これらは、理論的に決まるも

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  • 緊縮速報・財政再建は2019年に到達、消費増税は無名の師 - 経済を良くするって、どうすれば

    7-9月期の日銀・資金循環統計によれば、一般政府の資金過不足の名目GDP比は-1.9%へ浮上し、日の財政赤字は大きく改善した。過去3年のトレンドを延長すれば、2019年10-12月期には、基礎的財政収支の赤字がゼロとなる水準に達する。すなわち、財政再建に消費増税は無用であり、ショックで成長を毀損して再建を挫折させる恐れを踏まえれば、大義なき開戦たる「無名の師」に踏み切るのと等しい。データに基づかぬ財政の暗愚さは、国民に苦難をもたすことになろう。 ……… 財政当局は、状況を深刻に見せて、一気の増税を正当化しようとするので、出来合いの公表資料だけで判断することは、避けねばならない。このため、コラムでは、日銀・資金循環統計を基に、最新状況を把握するようにしている。その部門別の資金過不足は、概ね財政赤字に相当する。移動平均で計算される7-9月期の名目GDP比は、中央政府が-3.0%、地方政府が

    緊縮速報・財政再建は2019年に到達、消費増税は無名の師 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 7-9月期GDP2次・設備投資の行方と消費の屈折 - 経済を良くするって、どうすれば

    今回のGDP2次速報では、消費の推計方法が変更になったこともあり、改めて消費の動向に注目してみたい。変動がやや大きくなった点は意外だったが、全体的な傾向に違いはない。2014年の増税後、消費は、所得効果で大きく落ち込んだのに加え、増加速度も明らかに落ちた。そのため、増税しなかった場合と比べ、その差は14兆円まで開いている。2019年増税で、いかに駆け込みの反動対策をしようとも、速度を鈍らせる効果は防げまい。 ……… 7-9月期GDP2次速報では、法人企業統計の結果を受け、設備投資が大きく下方修正され、前期比-2.7%まで下がったことが最大のポイントだった。災害という特殊事情がなければ、景気動向の見方を変えないといけないほどの大きな低下であり、名目値で見て、ようやく前々期を上回り、かろうじて自律成長を確認できるという危い内容だった。その背景には、年初来の輸出の衰えがあり、今後の製造業の設備投

    7-9月期GDP2次・設備投資の行方と消費の屈折 - 経済を良くするって、どうすれば
    harumanachika
    harumanachika 2018/12/22
    “「とりあえず、増税ショックの対策をドーンと」でやると、剥落の過程で長くデフレ圧力をもたらしてしまう。”
  • スローガンを政策にした官僚たちのアベノミクス - 経済を良くするって、どうすれば

    「経済を良くするために、大胆な金融緩和が必要」と叫ぶだけなら誰でもできるが、それを「2%の物価目標、2年で達成、2倍の資金供給と国債期間」という方策、すなわち、「どうすれば」へと落とし込むには専門的な能力がいる。軽部健介さんの『官僚たちのアベノミクス』は、政治スローガンがどのように異次元緩和という政策へと形成されていったのか、その過程をつぶさに描いている。その効用は別として。 ……… 5年経った今からすると、円高を是正したという意味で、異次元緩和の第一弾までは成功だったと言えるだろう。むろん、それなしで実現されたのかもしれないが、少なくとも時宜には合っていたし、輸入物価高による消費冷却という弊害が目立つ、第二弾以降の金融緩和と分けて評価すべきだろう。また、マクロ経済の安定化という点で、日銀による国債の大量購入は、時代を画すものになると思われる。 異次元緩和は、目標を達成できなかったが、その

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  • 生存戦略としての結婚と育児の価値 - 経済を良くするって、どうすれば

    「嫁して3年、子なきは去る」は過酷だろうか。現代なら、もちろんそうだ。しかし、社会保障のない時代には、子供を持ってイエを守るだけが生きる術だったのであり、医学的にどちらに原因があるか調べられない以上、相手を変えてみるしか方法はなかった。そういう文脈で人の行動を理解しなければならない。では、現代ニッポンの「良い人がいなければ、結婚しない」という生存戦略は正しい道なのか。それは、社会保障によって、他人の子供に面倒をみてもらえる時代が続くことを前提にしている。 ……… 『逃げ恥に見る結婚経済学』是枝俊悟・白河桃子著は、タイトルからはキワモノに見えるが、多くの示唆に富む、とても面白いだ。結果的に「人はなぜ結婚するのか」という質に迫っているように思える。「愛や家族の価値は不変」と信じたくなるが、歴史が示す事実は変転だ。前時代の間違った価値観と切り捨てるのではなく、どうして、そんな行動をしていた

    生存戦略としての結婚と育児の価値 - 経済を良くするって、どうすれば
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    harumanachika 2018/01/07
    “社会保障のない時代には、子供を持ってイエを守るだけが生きる術”
  • 希望の党の経済政策・安東泰志氏の論考を読んで - 経済を良くするって、どうすれば

    小池新党の政策を知りたいと思い、ダイヤモンドO.L.(10/4)で、安東さんの論考を読ませていただいた。そこで感じたのは、日の財政当局のトリックに引っかかっているのではないかという心配だ。このトリックには、民主党政権も、消費増時の安倍政権もだまされている。筆者は、日には、安定的で無理のないマクロ経済運営をしてもらいたいと願っており、この観点から指摘するものである。 アベノミクスの特徴は大規模な金融緩和であるが、大規模な財政出動もしていると、よく誤解される。事実は、補正後の歳出総額は、民主党政権以来、100兆円程度と横バイである。看板の「機動的な財政政策」は、歳出の膨張を意味していないのに、勘違いされやすい表現になっている。トリックは、当初予算を小さめにし、補正を積んで、いかにも膨らませたように見せ、実際には前年並みに抑制するテクニックである。 結局、アベノミクスの実態は、金融緩和+緊縮

    希望の党の経済政策・安東泰志氏の論考を読んで - 経済を良くするって、どうすれば
    harumanachika
    harumanachika 2017/10/05
    “トリックは、当初予算を小さめにし、補正を積んで、いかにも膨らませたように見せ、実際には前年並みに抑制するテクニックである。”
  • 人は考えを変えない、悲しいほどに - 経済を良くするって、どうすれば

    「デフレの原因は、企業行動が変化したせい」という主張を聞くと、「若いなあ」と思ってしまう。何やら、経営思想が変わったから、経済が動いたような印象を受けるからだ。やはり、もう一つ問いを重ね、「なぜ、企業は設備や人材へのカネを絞るようになったのか?」へ進み、「緊縮財政がもたらした需要増なき経済に適応した」という答えを導き出すべきではないか。やはり、根源は、景気回復の芽を、いち早い緊縮で摘む「摘芽型財政」にある。 ……… 筆者も、若い時分は「意識変革で、世の中を良くできる」なんて議論していたものだよ。でも、人生経験の中で、「現実に合わなくなり、ボロボロになってすら、一念にしがみつく姿」を目にすれば、「人は考えを変えられない」と悟るようになる。だから、「思想の変化で、世の中が転換する」という説を、まったく信じられないんだね。方針に変化が起こるのは、多くの場合、人事での交代によってだ。 企業行動の変

    人は考えを変えない、悲しいほどに - 経済を良くするって、どうすれば
    harumanachika
    harumanachika 2017/07/24
    “方針に変化が起こるのは、多くの場合、人事での交代によってだ。”
  • ベーシックインカムと緊縮財政 - 経済を良くするって、どうすれば

    ベーシックインカム(BI)への支持が広がらない最大の理由は、「生産していないのに、どうして消費が許されるのか」という素朴な疑問だろう。ルトガー・ブレグマン著『隷属なき道』は、面白さに満ちていたが、これには答えていない。「お金を集めても、消費も投資もしない者がいる」という論理とセットにしないと、社会制度としてBIが不可欠になるという主張は、成り立たないように思う。 ……… ルトガーの主張のうち、「貧困の解決には、お金を与えるのが一番」というのは、なかなか説得力がある。ホームレスに3000ポンドを与える実験、ケニアでフリーマネーを与える援助を取り上げつつ、歴史をたどり、カナダ・ミンガムでの試み、50年前の米国での保障所得実験、ガルブレイスやトービンらが賛同したニクソン政権の家族支援計画、そして、福祉の失敗例とされるスピーナムランド制度の評価が覆されたことなどを語る。 残念ながら、家族支援計画は

    ベーシックインカムと緊縮財政 - 経済を良くするって、どうすれば
    harumanachika
    harumanachika 2017/07/17
    “「お金を集めても、消費も投資もしない者がいる」という論理とセットにしないと、社会制度としてBIが不可欠になるという主張は、成り立たないように思う。”