2023年8月11日のブックマーク (2件)

  • 【文芸時評】2月号 早稲田大学教授・石原千秋 現代のマウンティング競争(1/2ページ)

    統計ほど恐ろしいものはない。厚生労働省のことを言っているのではない。重大事だが、政府や官庁が統計をごまかすのはいまにはじまったことではない。しょせん権力とはその程度のものだ。 統計をとるためには対象を分類しなければならない。その意味を突き詰めて考えたのがミシェル・フーコーだったと、重田園江は言う(『統治の抗争史』勁草書房)。人口統計が、他の生き物の中にあって「ヒトという種」でしかなかった僕たちを「人類」に仕立て上げたと言うのである。人類に下位分類を施せば、人口統計は差別を生み出す装置となる。白人、黒人、アジア人などなどである。 しかし、こうした統計が国の施策を決定することも事実だ。岩田正美『現代の貧困』(ちくま新書)は、筋金入りの近代国家だった(最近はどうも怪しい)イギリスが、早くから貧困を数値化して救貧院などの福祉施設を充実させてきたと指摘している。その様子はディケンズ『オリバー・ツイス

    【文芸時評】2月号 早稲田大学教授・石原千秋 現代のマウンティング競争(1/2ページ)
    harumanachika
    harumanachika 2023/08/11
    “だから、文学から言えばこうなる。「統計学が最悪の学問である」と。”
  • 客観性への過度な信仰によって競争と序列化が生み出されている現代社会|ちくまプリマー新書|村上 靖彦|webちくま

    客観性と数値を過度に信用している学生の姿に疑問を抱いた著者。数字だけを優先させる社会は競争と序列化を生み、ひいては自分自身を苦しめる。数字と競争への強迫観念から解放する『客観性の落とし穴』より「はじめに」の一部を公開! 大学一、二年生に向けた大人数の授業では、私が医療現場や貧困地区の子育て支援の現場で行ってきたインタビューを題材として用いることが多い。そうしたとき、学生から次のような質問を受けることがある。 「先生の言っていることに客観的な妥当性はあるのですか?」 私の研究は、困窮した当事者や彼らをサポートする支援者の語りを一人ずつ細かく分析するものであり、数値による証拠づけがない。そのため学生が客観性に欠けると感じるのは自然なことだ。一方で、学生と接していると、客観性と数値をそんなに信用して大丈夫なのだろうかと思うことがある。「客観性」「数値的なエビデンス」は、現代の社会では真理とみなさ

    客観性への過度な信仰によって競争と序列化が生み出されている現代社会|ちくまプリマー新書|村上 靖彦|webちくま