ブックマーク / www.sankei.com (9)

  • 【正論】人工知能(AI)技術で大量失業時代は到来するか? 恐怖を喧伝するオオカミ少年になるな 大阪大学名誉教授・猪木武徳

    人工知能(AI)の性能向上がクローズアップされ、人間の労働と生活への影響をめぐる臆測が、学界やメディアを賑(にぎ)わしている。この素朴な問題関心は、過去に何度も立ち現れ、その都度人々の希望と不安をかき立ててきた。 労働が高度の自動機械に代替されるにつれ、生活環境が変わるだけでなく、人間への理解も多大な影響を受ける。技術はとかく神秘化されがちな人間と自然、人間と社会の関係を合理的な視点から脱神秘化していくからだ。 人間に求められるのは判断力経済的側面に限ると問題はふたつの論点に分けられる。ひとつは人間にとって最終的に残るのはどのような活動なのか、という労働の内容や「質」にかかわる問題。もうひとつは、労働需要が将来劇的に減少して、大量失業が不可避になるのかという「量」に関する問題である。 最近、この「質」に関する面白いニュース報道があった。日将棋連盟が、将棋の公式戦で棋士が対局室にスマートフ

    【正論】人工知能(AI)技術で大量失業時代は到来するか? 恐怖を喧伝するオオカミ少年になるな 大阪大学名誉教授・猪木武徳
  • 【書評】『賃金の日本史』高島正憲著

    の賃金労働者の歴史は貨幣が出現した古代にさかのぼる。各時代にどんな仕事でどれほどの額が支払われ、労働者の生活水準はどの程度だったのか。それを知るには膨大な古記録を集め、そこに記された名目賃金を基に物価を勘案した実質賃金を推計する必要がある。そうした数量経済史の手法で、1000年以上に及ぶ超長期の日賃金史を描いた意欲作だ。 前近代の賃金労働者の中心は職人だ。中世の熟練職人の名目賃金は数百年にわたり1日100文程度が続いたが、なぜ物価の変動と連動しなかったのか。そうした点から、近代と異なる経済のあり方も見える。(吉川弘文館・2200円)

    【書評】『賃金の日本史』高島正憲著
  • 【文芸時評】2月号 早稲田大学教授・石原千秋 現代のマウンティング競争(1/2ページ)

    統計ほど恐ろしいものはない。厚生労働省のことを言っているのではない。重大事だが、政府や官庁が統計をごまかすのはいまにはじまったことではない。しょせん権力とはその程度のものだ。 統計をとるためには対象を分類しなければならない。その意味を突き詰めて考えたのがミシェル・フーコーだったと、重田園江は言う(『統治の抗争史』勁草書房)。人口統計が、他の生き物の中にあって「ヒトという種」でしかなかった僕たちを「人類」に仕立て上げたと言うのである。人類に下位分類を施せば、人口統計は差別を生み出す装置となる。白人、黒人、アジア人などなどである。 しかし、こうした統計が国の施策を決定することも事実だ。岩田正美『現代の貧困』(ちくま新書)は、筋金入りの近代国家だった(最近はどうも怪しい)イギリスが、早くから貧困を数値化して救貧院などの福祉施設を充実させてきたと指摘している。その様子はディケンズ『オリバー・ツイス

    【文芸時評】2月号 早稲田大学教授・石原千秋 現代のマウンティング競争(1/2ページ)
    harumanachika
    harumanachika 2023/08/11
    “だから、文学から言えばこうなる。「統計学が最悪の学問である」と。”
  • 【文芸時評】8月号 女性と小説の起源 早稲田大学教授・石原千秋

    芥川賞が石沢麻依「貝に続く場所にて」(群像6月号)と李琴峰(り・ことみ)「彼岸花が咲く島」(文学界3月号)に決まった。どちらもこの欄で高く評価した作品だったので、候補作を見たときに、このどちらかではなく2作同時受賞だと確信して、その通りになった。芥川賞はその作品を時代の象徴として歴史に刻む役割がある。女性2人の受賞は初めてではないが、この作風の2作品が受賞したことは現代にふさわしかったと思う。その意味でも、素直に祝福したい。 最近、近代小説の成り立ちについて考えていて、ふとしたことからヴァージニア・ウルフ『自分ひとりの部屋』(片山亜紀訳、平凡社ライブラリー)を再読することになった。僕にとって最も重要だったのはこの一節だったことに、改めて気づいた。「しかし、現在において『小説=新奇なもの』(『』でくくったのは、この言葉がぴったりだとはわたしが思っていないしるしです)、あらゆる形式の中でもいち

    【文芸時評】8月号 女性と小説の起源 早稲田大学教授・石原千秋
    harumanachika
    harumanachika 2022/06/06
    “最近、近代小説の成り立ちについて考えていて、ふとしたことからヴァージニア・ウルフ『自分ひとりの部屋』(片山亜紀訳、平凡社ライブラリー)を再読することになった。”
  • 【書評】『パムクの文学講義 直感の作家と自意識の作家』オルハン・パムク著、山崎暁子訳

    『わたしの名は赤』などで知られ、2006年にノーベル文学賞を受けた現代トルコを代表する作家が米ハーバード大で行った連続講義の邦訳版。やわらかな言葉で小説という言語芸術の魅力を伝える。 作者の実体験と想像はどのように混ざり合うのか。登場人物とプロット、作中の時間との興味深い関係。そして小説の深層に埋め込まれた「隠れた中心」とは…。直感と思索の間を揺れ動きながら執筆するという作家は「小説を読むことは自分以外の誰かの言葉を通してイメージを視覚化すること」と語る。実作者ならではの視点が光る創作論であり、秀逸な読書論でもある。(岩波書店・2420円)

    【書評】『パムクの文学講義 直感の作家と自意識の作家』オルハン・パムク著、山崎暁子訳
  • 私立大入試は「難関・上位大挑戦」「地元回帰」傾向 河合塾まとめ(1/2ページ)

    来年度入学の私立大入試で、ここ数年の安全志向で人気を集めていた中堅大の志望者数が前年と比べて減少した一方、早稲田や慶応など一部の難関・上位大に持ち直しの動きが出ていることが、大手予備校の河合塾がまとめた入試動向で分かった。地方大の志望者数が大きく伸びていることも判明。いずれも新型コロナウイルスの感染拡大が受験生の動向に影響を与えている可能性があるとみられる。(福田涼太郎) 河合塾が10月に実施し、全国で約25万人が参加したマークシート式模擬試験(全統共通テスト模試)の結果を分析。河合塾による入試動向は、今回が今年度の最終版となる。 この模試の受験者数は新型コロナによる影響で前年比約81%。うち私立大を志望するのは同78%だった。 今回は、この「前年比78%」を基準に各大学の志望者数を比較。昨年同期の調査で志望者を大きく減らしていた早大は、今回は76%で基準とほぼ同水準を維持。慶大は85%と

    私立大入試は「難関・上位大挑戦」「地元回帰」傾向 河合塾まとめ(1/2ページ)
  • 【文芸時評】かつての現代思想の旗手たち 保守化しているように見えるが… 12月号 早稲田大学教授・石原千秋(1/3ページ)

    1955(昭和30)年生まれの僕の世代にとっては、評論家と言えばまず小林秀雄だった。高校生時代だから何かがわかったわけではないが、あの独楽(こま)が勢いよく回るような文体に身を任せるようにして読んだものだ。その僕とあまり年齢がちがわない3人の選考委員(大澤真幸、熊野純彦、鷲田清一)によって、群像新人評論賞は長崎健吾「故郷と未来」と題する柳田国男論に決まった。小林秀雄に、日の近代は西洋の受容と引き換えに故郷を失ったとする「故郷を失った文学」(1933=昭和8=年)があるから、なるほどと思った。テイストもまったくもって小林秀雄的だ。良くも悪くも一昔前の評論で、哲学や思想が専門で、現代思想には傷気味のこの年代の選考委員にはこういうのが受けるのだろうか。 1971(昭和46)年生まれで、この20年ほど現代思想を牽引(けんいん)し続けてきた東浩紀のインタビュー「職業としての『批評』」が「文学界」

    【文芸時評】かつての現代思想の旗手たち 保守化しているように見えるが… 12月号 早稲田大学教授・石原千秋(1/3ページ)
    harumanachika
    harumanachika 2019/08/28
    “要するにかつての自分自身に嫌悪感を覚えるようになったのだろう。”
  • 【文芸時評】10月号 早稲田大学教授・石原千秋 おばあさんの時代(1/2ページ)

    紅野謙介が怒っている。いま進行している教育の「改革」に対してである(『国語教育の危機-大学入学共通テストと新指導要領』ちくま新書)。新指導要領やセンター試験に代わる新テスト(大学入学共通テスト)でもっとも大きな「被害」を受けるのは国語である。 僕は、義務教育で使われている国語教科書を分析して、〈国語教育は道徳教育となっている〉と批判したことがある。たとえば、文学はどう読んでもいいはずなのに、学校では「正解」が一つに決まる。それは、道徳に見合った読み方だけが「正解」となるからだ。つまり、国語には「道徳」という明示されないルールがあって、それがわかれば「国語ができる」ことになる。これは国語教育の名を借りた道徳教育だと批判した(『国語教科書の思想』ちくま新書)。 今度の「改革」が文学の息の根を止めるものになることは知っていたが、紅野謙介のから多くのことを学んだ。試験的に行われた新テストのひどさ

    【文芸時評】10月号 早稲田大学教授・石原千秋 おばあさんの時代(1/2ページ)
  • 【安倍政権考】財務省に切り崩される再増税慎重派。踏ん張る自公の2人の支えとは…(1/3ページ) - 産経ニュース

    安倍晋三首相が来年10月からの消費税率10%再引き上げの適否を判断するのを前に、再増税に慎重な自民、公明両党議員に対する財務省の切り崩しが激しさを増している。財務省は、財政規律の観点から、幹部らが若手議員を中心に再増税の必要性を説いて回っているのだ。 減少傾向の出席者 5日、自民党部の会議室。同党有志でつくる再増税先送りを求める「アベノミクスを成功させる会」(会長・山幸三衆院議員)の第3回会合に出席した議員は15人だった。10月22日の初会合には45人が出席した。100人を目標としたが、10月31日の第2回会合は22人と逆に半減し、先細りの印象を与えている。 「日銀行も(4月の8%への)消費税率引き上げで経済がおかしくなったことをようやく認めたということだ。当然、消費税率の再引き上げは来年度中にはできない」 会合で山氏は、日銀が第2回会合のあった日に追加金融緩和に踏み切ったことを引

    【安倍政権考】財務省に切り崩される再増税慎重派。踏ん張る自公の2人の支えとは…(1/3ページ) - 産経ニュース
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