日本の賃金労働者の歴史は貨幣が出現した古代にさかのぼる。各時代にどんな仕事でどれほどの額が支払われ、労働者の生活水準はどの程度だったのか。それを知るには膨大な古記録を集め、そこに記された名目賃金を基に物価を勘案した実質賃金を推計する必要がある。そうした数量経済史の手法で、1000年以上に及ぶ超長期の日本賃金史を描いた意欲作だ。 前近代の賃金労働者の中心は職人だ。中世の熟練職人の名目賃金は数百年にわたり1日100文程度が続いたが、なぜ物価の変動と連動しなかったのか。そうした点から、近代と異なる経済のあり方も見える。(吉川弘文館・2200円)
![【書評】『賃金の日本史』高島正憲著](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/fdabb0b3cd3002711ab22fa19d0edb441607405d/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fwww.sankei.com%2Fresizer%2FQw3yVv_ptwA5BNbIb26wPnX-YD0%3D%2F1200x630%2Ffilters%3Afocal%281075x675%3A1085x685%29%3Aquality%2850%29%2Fcloudfront-ap-northeast-1.images.arcpublishing.com%2Fsankei%2F5RYK4MXFDRNORPMKNJWJZDDFFI.jpg)