統括研究員 濱口 桂一郎 近年、派遣法、解雇法制、非正規労働、ジョブ型正社員、労働時間規制など、労働法制をめぐる話題は目白押しです。わたくしも新聞テレビなどマスコミから解説を求められることがしばしばあります。そうした際に、これからの労働法制の課題は何でしょうか?と聞かれると、わたくしは必ず、集団的労使関係システムの在り方をめぐる問題でしょう、と答えています。現時点では政労使いずれの側においても、集団的労使関係システムそれ自体は政策課題のアジェンダには挙げられていませんが、現在議論されている様々な課題の背後にはこの問題が影を潜めているのです。 政府の研究会が提起しているのは非正規労働の均等処遇問題の関係です。たとえば「非正規雇用のビジョンに関する懇談会」が2012年3月にとりまとめた報告書は、「労働契約の締結等に当たって、個々の企業で、労働者と使用者が、自主的な交渉の下で、対等の立場での合意