16年前、全世界を大不況に陥れた金融危機。その原因を辿った先にいたのは、無名のサラリーマンだった―。カネを巡って騙し騙され、二転三転していく狂乱の「コンゲーム」の全貌がいま明らかに。 文・阿部重夫(あべ・しげお)/『リーマンの牢獄』監修者。日本経済新聞記者、英ケンブリッジ大学客員研究員などを経て、現在「ストイカ・オンライン」編集代表 前編記事『リーマンショックの引き金を引いた「懲役14年男」が獄中で詠んだ「ヒドすぎる俳句」の中身』より続く。 まんまとむしられる道化役 齋藤栄功氏を評して「よっぽど引きの強い人」と言った人がいた。なぜか彼の身辺では、時の人が常夜灯に群がる羽虫のようにじりじりと身を焦がす。 山一證券に自主廃業を命じた三塚博大蔵相、検察に追い詰められて自殺した新井将敬議員、上皇后の従兄で名門出の創薬起業者・水島裕氏……。そして齋藤氏もまた、高級デリヘルや愛人クラブから送り込まれて