石森章太郎(本稿では石ノ森じゃなくて石森で書かせていただきます。でないと気分が出ないので)に対する印象は、読者の世代によってずいぶん違うのじゃないかというお話。 1966年から1968年、各社から新書判コミックス創刊があいついだころ、石森章太郎こそ、マンガのスターでした。 秋田書店サンデーコミックスの第一号は石森章太郎『サイボーグ009』、朝日ソノラマサンコミックス第一号も石森章太郎『黒い風』、虫プロ虫コミックスの一号も石森章太郎『気ンなるやつら』でした。 十代から活躍した早熟のひとなので、『マンガ家入門』を描いたのが1965年で27歳、石森章太郎選集という函入りハードカバーのシリーズが出版されたのが1969年、31歳のときです。わたしも喜んで買ってました。 最初の転機は1967年、「漫画アクション」創刊号から描かれた『009ノ1』じゃないでしょうか。青年マンガというそれまでに存在しなかっ