特集 欧米の若者たちにとっての“クルマ” ドイツ自動車事情 木村 好宏[モータージャーナリスト] はじめに モータリング・ライターという肩書を持ってドイツに住み始めてもう30年以上経過するが、その間に日本を恋しく思うようなことはまったくない。特に自動車に関わりを持った仕事をしているとドイツはまさに天国と表現しても良いほどの国だからなおさらである。 この国だけでなく欧州全体に漂う自動車に対する温かい眼差しは、若者に対してだけでなくこの欧州諸国に居住するすべての人々が感じることである。 それは自動車の存在とそれを使っての移動に対する社会的な認知度の違いからくるものである。 「免許」システムの違いから まず基本的なところから始めよう。 ドイツでは「免許証」という言葉はほとんど使われない。代わりに「自動車運転技術証明書」という。つまり自動車の運転はすべての国民に与えられている権利であり、