落合監督は中日での8年間、Aクラスから落ちたことが一度もなかった。リーグ優勝は実に4度。名将と呼んでいいだろう。その落合監督の横には常にひとりの男が立っていた。彼こそが名将の「参謀」である。 チームの情報を漏らせばクビ 落合監督はコーチに対して、いつも相当な努力を求めてきた。コーチ同士でも一軍担当か二軍担当か競争をさせる。チームはそういう緊張感にあふれていた。 たとえば、 「内角球のインパクトのポイントを後ろにするために、内角球をバットの芯でライトに運ぶ練習をしておけ!」 といったメニューの指示が、監督から私に出たとしよう。 当然、監督の話はバッティングコーチに伝えてそのコーチが選手と練習をするのだが、ときどき監督が見に来て、その打者の練習について注文がつく。 「あれで、メニューこなしたのか?練習やっているのか?」 もちろん監督はいつも打撃練習に付きっきりではなく、打者も基本的にコーチに任