「ロッベンやリベリーと戦って、自分がどれだけやれるかが楽しみです」とブンデスリーガでの試合を心待ちにする酒井宏樹。2012-2013シーズンにおけるブンデスリーガの開幕日は8月24日。 思ったことをただ無造作に書き連ねるだけの取材ノートに、こう書いてある。 「ホントに大丈夫だろうか、この選手は」 2010年9月11日、J2リーグ第25節。ホームにカターレ富山を迎えたこの試合、右サイドバックとしてスタメンに名を連ねた20歳の酒井宏樹は、明らかに浮足立っていた。 軽率なトラップミスやパスミスを連発し、出るにも引くにもポジショニングが中途半端。前方に位置するレアンドロ・ドミンゲスとの呼吸が合わず、叱咤されては悩みを深め、ボールに絡んではミスを連発する悪循環に陥っていた。 同点で迎えた終盤の86分、ピッチ上にうずくまる酒井を途中出場の北嶋秀朗が半ば無理やり引き起こし、「立て! 時間がない!」と鼓舞