経済政策部 上席主任研究員 片岡 剛士 前回の拙稿(「 金融緩和の総括的な検証と新たな枠組みをどうみるか? 」)では、9月20日・21日の金融政策決定会合において公表された「総括的な検証」の概要と「イールドカーブ・コントロール」及び「オーバーシュート型コミットメント」の2つについて紹介しつつ、これら新たな枠組み採用がもたらすであろう3つの可能性を検討した。 1つ目の可能性は年80兆円という長期国債買取りのペースを維持しつつ、長期国債金利(価格)を0%に維持するという新たな枠組みは両立不能であり、2%の物価安定目標の達成という政策効果が早期に達成される可能性は低いというものであった。 そして2つ目の可能性は、長期国債買取りのペースに応じて長期国債金利(価格)ないし日銀当座預金残高の一部に適用しているマイナス金利をさらに低下させることで量的緩和拡大にみあう金利低下を実現させるというものであった