外れたケインズの予言 2014年にオランダで自費出版同然の本がコツコツと売れ、アマゾンの自費出版サービスを通じて英語に訳されたとたん、大手リテラリー・エージェントの Janklow&Nesbit の目にとまり、2017年には全世界20ヵ国での出版が決まる。 2015年、フランスのトマ・ピケティの登場を彷彿とさせるようなシンデレラストーリーを体現しているのが本書『隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働』である。 筆者は、まだ29歳の若さで、ハイエクからマルクスまでを縦横無尽に読み解き、説得力のあるデータを提示しながら、まず今日の世界の状況をこんな風に絵解きしてみせる。 産業革命以来、人類の労働時間はずっと減り続けていた。ケインズは、第一次世界大戦のあと、スペインで講演を行い、その中で、「2030年までに週の労働時間は15時間にまでなる」と予測した。 ところが、今日