新型コロナは多くの失業者を出すなど、“貧困パンデミック”とでも言うべき状況が生まれている。生活困窮層は分厚くなり、さらに下流の“底”がヒビ割れ奈落に落ちる人も……。そんなニッポンの貧困のリアルを取材した。 都内最安シェアハウスで希望が持てない若者の苦悩 引き戸の玄関を開けると目に映ったのは、10畳未満の狭小の部屋に押し込まれた鉄パイプの二段ベッド、しかも3つ。大きな窓がなく、室内の空気もどこか湿っている。1か月の家賃が2万5000円の、1畳にも満たないベッド上には、住人の生活必需品、洗濯物などが所狭しと置かれ、寝返りを打つスペースも残されていない。 ここは都内でも安さをウリにした、品川区にあるシェアハウス。住人の中心は20代の若者たちである。オーナーとして実際にここに住んでいる野村康太さん(仮名・24歳)は、激安シェアハウスを始めるに至ったいきさつをこう語る。 「2人兄弟の長男で母子家庭だ