ジーン・シャープ「独裁から民主へ」 「武器なき闘争論」のジーン・シャープが2002年にビルマの人々のために書いた若干100ページ弱の小冊子、「独裁から民主へ」は、ビルマのみならず世界のあちらこちらの民衆運動において非暴力運動の教科書として参照されるようになった。記憶にあたらしい2011年のアラブの春やウォールストリート占拠だけでなく、セルビアのブルドーザー革命 (2000)、グルジアのバラ革命(2003)、ウクライナのオレンジ革命(2004)などは、シャープの非武装運動論に戦術の多くを借りた、といわれる*1。真偽のほどは定かではないが、特に補遺2にリストされた戦術は、この10年にみられたさまざまな民主化運動を振り返れば重なる部分も多い(リスト自体は本よりもかなり前の1973年に作成されたものであり、当然のことながらインターネットへの言及はまだない)。列挙された戦術を眺めると、旧来の民衆運動