ロンドン市民に襲い掛かる61万リットルのビール ビール好きにとっては、ビールが流れる川は夢のような話です。 川辺に寝っ転がって、ビールを汲んでは飲んで酔っ払う。まるで天国だ。 1814年にロンドンで起こった「ビール洪水事件」は、そんな牧歌的な姿とは真逆のまるで地獄のような事件。 ロンドン・セントジャイルス地区にあるホース・ショー醸造所から流れ出た61万リットルのビールは、洪水となって近隣地区を遅い溺死者7人を含む9人の命を奪う凄惨な事故となりました。 1. 点検スタッフ「ん、なんか樽がおかしいけど問題ないか」 ロンドン中心部のセントジェイルス地区にあるホース・ショー醸造所は、アイルランド系移民が18世紀後半のジョージ3世の時代に設立した歴史ある醸造所。 ポーター(焦がした麦芽とホップが効いた苦めのビール)が評判で、年間10万以上の樽を生産していました。 1814年10月17日午後4時半ごろ