安倍晋三首相はオランダ・ハーグでの核安全保障サミットや日米韓首脳会談で、集団的自衛権を行使できるようにする憲法解釈の変更について語らなかった。国会などで連日のように解釈改憲への意欲を示している国内の姿勢と対照的だ。日本の集団的自衛権の行使容認は東アジアの緊張を高めるとして、海外からも懸念が示されているが、解消する努力をしなかった。 (ハーグで、後藤孝好) 「日米韓三カ国の首脳が一堂に会し、安全保障について幅広く議論することは非常に有意義で、実利にかなっている」 首相は二十五日の日米韓首脳会談でこう強調した。会談では、北朝鮮の核問題など北東アジアの安全保障分野を中心に意見交換し、三カ国の連携強化で一致したというが、中身のある議論とは言い難い。首相は、集団的自衛権の解釈改憲方針を説明せず、議論もされなかったからだ。 集団的自衛権の行使とは自国と密接な関係のある国が攻撃されたとき、自国が攻撃され