◆利用が急増する中国 食品への放射線照射は「原子力の平和利用」として始まり、原子力関係者の強力な後押しを受けて、多くの国に広がっている。 世界の事情に詳しい久米民和・元日本原子力研究開発機構研究員によれば、世界の年間処理量(照射食品生産量)は2005年の約40万トンから10年には47万トン以上に増え、さらに12年には100万トンに達したと推定されている。 最大の処理国は中国で、ニンニク、スパイス・乾燥野菜、健康食品、穀類、肉類など多種多様な食品に照射している。近年は農薬類の過剰投与が問題になったため、それに代わるクリーンな方法として増加が著しい。コバルト60γ線照射施設が200基以上あり、処理量は12年には76万トンにまで増えたと、照射食品関係の国際会議で報告されている。 近年、ベトナムやメキシコなどアジアや中南米での処理量も急増しているが、これは主に米国へ熱帯果実を輸出するためだ。米国は