世の中の出来事はほとんどが複数の官庁にまたがる。ダム建設を考えても、工事をするだけで終わらない。環境問題やエネルギー問題、地域振興から雇用問題まで幅広い分野に影響する。それを総合的に考えて計画は作らなければならないが、官僚が法律を作る日本では、どこか一つの官庁に所管させる話になる。どんな問題でも官庁のタテ割りで法案を作り、官庁と同じタテ割りの委員会がタテ割りの議論を行って法律を作る。これが官僚国家日本の立法府の姿である。 因みに日本と同じ委員会中心主義のアメリカ議会では、問題ごとに委員会が存在する。複数の官庁にまたがる問題の委員会もあれば、一つの官庁の問題をいくつかに分けてそれぞれ委員会が作られる場合もある。と言うか、そもそも官庁を意識して委員会が作られてはいない。官僚と議会とは基本的に関係ない。官僚が議会に呼ばれるとすれば、公聴会に証人として喚問され、議員から質問される場合だけである。