公開中の「311」(渋谷・ユーロスペースなど)は、観客にさまざまな問いを突きつけるドキュメンタリーだ。監督は、森達也=写真=、綿井健陽、松林要樹、安岡卓治の4人。 彼らは、昨年3月11日の東日本大震災発生から2週間後、共に被災地へ向かった。福島、岩手、宮城を訪れた彼らが被災地の現状と共にとらえたのは、取材する彼ら自身の素顔。ドキュメンタリーを撮る者、見る者の〈業(ごう)〉をいや応なしに考えさせる内容だ。 「最初は、作品にしようと思って被災地に行ったわけではない」と森。それぞれビデオカメラを手に出発したが、映像は個々の作品に使うものだと思っていたという。ただ、取材終了後、安岡が、「つないでみたい」と提案。1か月ほどかけて編集、作品の形を作った。 「僕は被災地にいる時、『作品にするならば、テーマはうしろめたさかな』って安岡にささやいたりしていた。彼もそう思ったみたいで、そういう意味ではつながっ