リアリティとは何か。リアリティとは何処にあるのか。本批評は、リアリティを「非現実における現実の再現」と解釈し、ゲームというメディアの内に表現するという、その野心的な試みの果てに散った『キングダムカム・デリバランス』という作品について語るものである。 ※『キングダムカム・デリバランス』PlayStation 4通常版(日本語)にてレビュー 『キングダムカム・デリバランス』(以下、キングダムカム)はチェコに拠点を構えるゲームメーカーWarhorse Studiosが手掛けたオープンワールドロールプレイングゲーム。文人皇帝の名で知られた「チャールズ4世」による黄金時代を終え、15世紀――洛陽へと傾き始めたボヘミア王国(現在で言うチェコ)を舞台に、「無能」と称されながらも有力諸侯を後ろ盾に抱える当代ボヘミア国王ヴェンツェスラウスと、玉座を狙いながらもニコポリスでの大敗で求心力を失ったハンガリー王ジ