世の中には様々な職業がありますが、この作品で描かれるほど奇妙な職業は、おそらく世界のどこにもありません…。 フランスの作家、トニー・デュヴェールの『小鳥の園芸師』(山田稔訳 白水社)は、空想上のさまざまな職業について語った連作掌編集です。 目次には「尻拭い」「時計読み」「硝子割り」「小鳥の園芸師」「裁き屋」「身代わり」「思索屋」「役立たず」など、奇妙な職業名が並びます。そのどれもが、現実にはありえないような職業ばかり。 例えば、「裁き屋」を見てみましょう。これはなんと、犯罪を犯したくなった人間を、あらかじめ牢屋に入獄させておき、その時間に見合った犯罪をあっせんするという職業です。 彼は、これよりもあれを犯したらどうか、とか、もっと軽い罪を二つ一度に犯したら、とか助言を与えてくれる。ある重罪をさらに重く、あるいは軽くするにはどうすればよいかを明確に教えてくれる。それからあなたは、どんな犯罪が