ブックマーク / totb.hatenablog.com (27)

  • 立民・枝野代表の事実誤認 - Think outside the box

    立憲民主党の枝野代表が20日の衆議院会議で行った2時間43分の演説に事実誤認があったので、財政に関する部分を指摘します。 来効果が上がるはずの金融緩和をとことんアクセルを踏み、財政出動にとことんアクセルを踏んでも、個人消費や実質賃金という国民生活をより良くするという経済政策の来の目的にはつながらないところで止まっているのではないでしょうか。 安倍政権が積極的に財政出動していると認識しているようですが、公的固定資形成(公共投資)は民主党政権期から微増した程度です。 最終消費支出は増えていますが、増えているのは社会保障的支出の保健と社会保護で、その他の合計はやはり民主党政権期から微増した程度です。 景気対策として効果があるならば、建設国債は財政規律のある意味別枠という扱いでバンバン発行をされています。 バンバン発行されているのは建設国債ではなく特例国債(赤字国債)です。 公共事業の額を

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  • [グラフ]治山治水対策事業費 - Think outside the box

    大雨による大水害が発生しているので、治山治水対策事業費の推移を確認します。 2000年度以降を拡大します。 一般会計と特別会計の純計も示します。 こちらは国土交通省資料から。 治山治水対策事業費削減といえば「コンクリートから人へ」の民主党政権のイメージが強いかもしれませんが(確かに事実)、トレンドは民意に支えられて1980年代から続いていました。安倍政権は民主党の「削り過ぎ」を若干戻しただけです。*1*2 地方も含めた公共事業全体もほぼ同じ推移です。 公共事業費の削減が建設業就業者を減少させたことも見て取れます。安倍政権下での就業者増加は建設業には及んでいません。 1990年代の非自民政権と自社さ政権では、バブル崩壊後の景気対策で急増した公共事業費を削減することが「改革」とされ、その動きは橋龍太郎政権で格化しました。橋内閣総理大臣は1997年1月に財政構造改革会議(橋議長)を発足さ

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  • 『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』の誤りを語ろう - Think outside the box

    ミスター緩和マネーこと松尾匡が通貨制度について無茶苦茶な解説をしているにも関わらず、一部には人気のこの(⇩)ですが、 そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3.0の政治経済学 作者: ブレイディみかこ,松尾匡,北田暁大出版社/メーカー: 亜紀書房発売日: 2018/04/25メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (5件) を見る まずはそれ以外の点について検証します。 松尾 ケインズ自身は第二次大戦中に亡くなってしまうのですが、*1 ケインズが死去したのは1946年4月21日です。*2 松尾 実は、需要側から経済というものを考えようとしたケインズの経済学自体、そもそも天井の成長がもうないという低成長の時代を想定してつくられた経済モデルなんですよね。*3 彼は、戦後になって資主義の大高度成長時代がやって来るなどとは夢にも思っていなくて、英国はもうこれで経済成長は終わり

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  • 20年ぶりの賃上げ率と「アベノミクスという幻想」 - Think outside the box

    4月16日の日経済新聞1面記事ですが、日経済にとって必ずしもグッドニュースとは言えない内容です。 賃上げ20年ぶり高水準2.4% 人材確保へ脱・横並び https://t.co/A0zSGXB2JF — 日経済新聞 電子版 (@nikkei) 2018年4月15日 一般的には、製造業など技術進歩による労働生産性上昇率の高いセクター(progressive sector)の賃金上昇が、サービス業など労働生産性上昇率の低いセクター(stagnant sector)の賃金を牽引する構図で経済全体の賃金水準が上昇していきます。 ところが、足元で生じているのは、その構図の崩壊です。 大手製造業の賃上げがその他の産業に波及していくという従来の構図が崩れつつある。 人手不足への危機感から賃上げに動いた陸運や小売りなどが押し上げた。 技術進歩→労働生産性上昇による賃金上昇はグッドニュースですが、供給

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  • 日本の経営者は「有能」 - Think outside the box

    デービッド・アトキンソンが日の経営者を「奇跡的とも言えるほど無能」と酷評していますが、果たしてそうでしょうか。 【日は、「無能な経営者」から改革するべきだ】 アトキンソン氏「働き方改革よりも急務」 : https://t.co/My8bnrQffs #東洋経済オンライン — 東洋経済オンライン (@Toyokeizai) 2018年3月21日 以下、「日の経営者は有能」であることをディベート的に論証します。 「日がこの二十数年間、経済成長で他国に置いてきぼり」をくらったことについてのアトキンソンの分析は的確です。 そして、価格を引き下げるために社員の所得を減らすという暴挙に手を染める一方、企業としての利益を着々と貯め込んだのです。利益は増えているのにGDPが増えていないということは、経営者は社員の給料を削って利益を増やしたということです。その一部は外資系投資家に渡っていることを考え

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  • 日本人労働者が恐れる「卑怯な日本企業」~ヤングレポートと伊藤レポート - Think outside the box

    過去20数年間、政財界が進めてきた「雇用改革」が、労働者を安上がりに使い倒すことを目的としていたことはほぼ明らかで、実際、日は労働生産性が上昇しても賃金が上昇しないために単位労働コストが大幅に低下した唯一の国となっています。 企業の労働者の扱いは「一銭五厘」を想起させますが、日軍が人命軽視になったのも「合理的」だったからということです。 米軍が恐れた「卑怯な日軍」 帝国陸軍戦法マニュアルのすべて (文春文庫 い 95-1) 作者: 一ノ瀬俊也出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2015/10/09メディア: 文庫この商品を含むブログ (4件) を見る 戦局悪化の中で、「対米戦法」は当初の火力戦法から夜間斬り込み戦法へと転換していった。それはもちろん米軍の圧倒的火力という現実に強制された結果であった。 この兵士を一個の「地雷」視する発想は、1945年1月に台湾軍司令部の市川なる参謀が

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  • [グラフ]単位労働コストと資金循環 - Think outside the box

    経済の名目ベースでの停滞は他国に比べると歴然としています。 そこで、日経済の拡大停止と関係がありそうなデータをグラフで確認します。 単位労働コストは1998年を境に大幅に低下しています。 上昇トレンドにある他の国々と比べると、日の特異性は明らかです。 1998年→2014年の年平均変化率を示します。 企業が生産性上昇を賃金に反映させなくなった結果です。これがデフレの主因であってその逆ではないことが重要です。*1 未だに「賃上げすると日は滅ぶ」と叫ぶ人もいるようですが、IMFまで行き過ぎた賃金抑圧を懸念する異常事態です。 www.bloomberg.co.jp 潤沢な資金を持つ強者対安い賃金で働かされる弱者ー。国際通貨基金(IMF)は日の企業と被雇用者の関係をこのようにみる。労働市場のこの問題に対策を講じなければ日全体が敗者になると、対日審査責任者のリュック・エフェラールト氏が

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  • インフレは無理というのは嘘つきの言葉 - Think outside the box

    クルーグマンは日が「臆病の罠」に囚われていると分析しています。 http://krugman.blogs.nytimes.com/2015/10/20/rethinking-japan/ This observation suggests that even in the best case Japan may face a version of the timidity trap.*1 インフレ目標達成前を待てずに早まって財政健全化に着手してしまうことが、インフレ目標達成→実質金利低下→「低いトラップ」から「高い均衡」への遷移を妨げている、という見方です。 http://krugman.blogs.nytimes.com/2014/03/21/timid-analysis-wonkish/ This observation suggests that even in the best

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  • クルーグマンは変節した?していない? - Think outside the box

    クルーグマンが変節した/いやしていない、と話題になっていたので、改めて整理してみます。 blogos.com つまり異次元緩和と呼ばれた大胆な金融緩和の発想元となっているクルーグマン教授が、自らその考え方が誤りであることを認めた格好となった。これは日銀にとっては事件とも言えよう。アベノミクスの背景にあるリフレ派の考え方をその教祖とも呼べる人が疑問視したのである。 gendai.ismedia.jp ところで、このクルーグマン氏の「変節」は、現在の日銀の金融政策に批判的な論者らに熱狂的な歓喜をもって迎え入れられたが、残念ながら、そのインプリケーションは、彼らが期待したものとは全く正反対である。 クルーグマン氏は、「日がこの『臆病者の罠』から抜け出すためには、よりアグレッシブな金融緩和を実施すると同時に財政支出も拡大すべきだ」と提案している。 見方が正反対に分かれるのは、「変節した」派はクル

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  • クルーグマンの"Rethinking Japan"再考 - Think outside the box

    先日の記事(↓)で言及したクルーグマンのモデルについて再考します。*1 totb.hatenablog.com クルーグマンは先月のNYTのコラム"Rethinking Japan"で、 http://krugman.blogs.nytimes.com/2015/10/20/rethinking-japan/ Hey, it was one of my best papers; and it has held up pretty well in many respects. と、1998年に発表した論文が「ベストの一つ」と自画自賛しています。当時と現在の変更点は、実質金利を十分に引き下げるために必要なインフレ率が高まったこと、そしてその実現に必要な財政・金融の刺激の規模が増大したことです。たとえるなら、診断と治療法は正しかったが、病状が悪化したために、投薬量を大幅に増やす必要が生じた、とい

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  • 付利引き下げは金融緩和? - Think outside the box

    銀行が追加緩和として超過準備の付利を引き下げるとの予想が(黒田総裁が否定しているにもかかわらず)燻り続けています。 www.bloomberg.co.jp みずほ総合研究所と三菱UFJ証券のエコノミストは、日銀による次回の追加緩和時には超過準備の付利が引き下げられると予想する。日銀での議論に詳しい複数の関係者が5月に語ったところでは、現行0.1%の付利の引き下げの選択肢は完全に議題から外れたわけではないが、検討はしていないとされる。黒田総裁はより最近になって、日銀ではさしあたり考えていないと話している。他方、日銀が欧州の一部中央銀行のようにマイナス金利を導入することもできると指摘するエコノミストもいる。 なぜ付利の引き下げが金融緩和になるかと言うと、 www.zakzak.co.jp 銀行や信用金庫は家計や企業からの預金の増加分の大半を融資に回さず、国債購入に充てる。その国債を日銀に売

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  • 追加緩和の意味? - Think outside the box

    素朴な疑問ですが、日銀行の「追加緩和」とは具体的には何を意味するのでしようか。 jp.wsj.com これまでのところ、日銀は銀行等の資産の国債を、当座預金に金利0.1%を付けてせっせと交換しています。 www.bloomberg.co.jp www.bloomberg.co.jp 国債増発は実体経済に影響がありますが、それを銀行が保有しても日銀が保有しても大差は無さそうですが。 toyokeizai.net 米国でも日でも、準備預金残高が増えると株価が上がり、準備預金残高が減ると株価が下がっている。それは、ブタ積みであっても、予想インフレ率が上昇するからだ。 リフレは正しい アベノミクスで復活する日経済 作者: 岩田規久男出版社/メーカー: PHP研究所発売日: 2013/03/29メディア: 単行(ソフトカバー) クリック: 2回この商品を含むブログ (8件) を見る

    追加緩和の意味? - Think outside the box
  • クルーグマンと(旧)日銀理論の勝敗 - Think outside the box

    リフレ論と言えば「中央銀行によるインフレターゲット+準備預金大幅増(⇔国債買い入れ)」ですが、最近ではリフレ派エコノミストが経済対策として定額給付金を主張する事態となっています。 www.asahi.com 今こそ国内総生産(GDP)の6割を占める消費の政策的な底上げが急務なのです。具体的には1人あたり3万円の定額給付金支給などを主眼にすえた、総額5兆円規模の経済対策を早急に実施すべきです。 元祖リフレ派(教祖?)のクルーグマンも、「中央銀行は財政赤字をファイナンスせよ」「資産ではなくモノを買え」と、財政出動を主張するようになっているので不思議ではありませんが。 "Respectability is killing the world economy." — @NYTimesKrugman http://t.co/zsw0UrtzGT — NYT Opinion (@nytopinion)

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  • 闇金ドイツとギリシャ - Think outside the box

    2015-07-14 闇金ドイツとギリシャ ギリシャが金融支援と引き換えに「降伏」に追い込まれたようです。 Greek crisis: surrender fiscal sovereignty in return for bailout, Merkel tells Tsipraswww.theguardian.com チプラス首相が屈服-ギリシャのユーロ残留のため要求に合意 - Bloombergwww.bloomberg.co.jp 情報BOX:ユーロ圏首脳が合意したギリシャ新支援への条件 | Reutersjp.reuters.com 1997年の通貨危機時に、IMFが韓国に強要した新自由主義的「改革」を想起させる内容です。*1 Podemos slams Greek deal as 'coup d'Etat' - The Localwww.thelocal.es "What they

  • QQE強制終了まであと2年 - Think outside the box

    2015-06-15 QQE強制終了まであと2年 日銀行の量的緩和について、とんでもない誤解をしている記事を見つけてしまいました。 日銀が国債を買い続けられなくなる日はいつやってくる? | ハーバービジネスオンラインhbol.jp 日銀の国債等の買い入れの原資は、銀行の“余資”(=預金―貸出金)だそうです。 銀行は家計や企業から集めたカネ(預金)を貸出に回している 日銀は銀行の預金と貸出の差額(預貸ギャップ)を吸い上げて国債を買い入れている なので、余資が尽きたところで、QQEは強制終了になるわけです。 もちろん、因果関係はまったく異なります。預金は銀行の貸出や有価証券買い入れによって創造されるものであり、同様に日銀当座預金は日銀の国債等の買入れによって創造されるものです。 この誤解は相当根深いようです。 日銀当座預金の「資金源」は私たちの銀行預金 - Think outside the

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  • 超過準備~クルーグマンとクー - Think outside the box

    クルーグマンは日に「おカネをもっと刷」れと言っています。 gendai.ismedia.jp 日には十分な国内資産があるため、ギリシャのようにデフォルトの懸念にさらされることはありません。それより重要なのはおカネをもっと刷って、デフレから完全に脱却することなのです。 超過準備とインフレ率を比較してみます。超過準備増加がインフレ率を引き上げる関係は見られるでしょうか。 www.businessinsider.com www.businessinsider.com But Krugman also believes in monetary policy -- he was an advocate of aggressive QE -- while Koo thinks that monetary policy (especially now) is useless. 量的緩和の効果について

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  • 日本は貧しいから賃上げできないのか - Think outside the box

    「時給1500円で日は滅ぶ」の続編が掲載されていました。 blogos.com 賃金水準を外国と単純に比べられないのはその通りです。特に最近では、円の実質実効為替レートは変動相場制移行後の最低水準に減価しているので、外国から見れば日の物価と賃金は安く(→訪日外国人観光客激増)、逆に日から見れば外国の物価と賃金は高くなります。 実際、最近外国に行くと、ランチや軽の円換算価格の高さ(⇔日の安さ)を感じます。加藤出の著書から、ニューヨークの2001年と2014年の価格比較を一部引用します。 日銀、「出口」なし! 異次元緩和の次に来る危機 (朝日新書) 作者: 加藤出出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2014/07/11メディア: 新書この商品を含むブログ (3件) を見る マンハッタン内の地下鉄初乗り料金 1.5ドル→2.5ドル 「マグノリア・ベーカリー」マフィン 1.25ドル

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  • 不感症の日本企業 - Think outside the box

    財務省から「法人企業統計調査」が発表されました。 GDP10─12月下方修正か、設備投資据え置きでも在庫など下押し | Reuters 10-12月期設備投資2.8%増、経常利益過去最高-法人企業統計 - Bloomberg 経常利益の伸びと比べると、設備投資の伸びの鈍さが目に付きます。 同様に、人件費の伸びも鈍いままです(特に製造業)。 結果として、自己資比率の上昇が続いています。脇田成が言うところの「企業の要塞化」は解消していません。 賃上げはなぜ必要か: 日経済の誤謬 (筑摩選書) 作者: 脇田成出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2014/02/12メディア: 単行この商品を含むブログ (1件) を見る 以前は①企業利潤が上昇後、 ②人件費を先導に、③企業純資産、④設備投資の3者がバランスよく上昇していたが、 98年度以降、経験法則が崩れ、優先度が②純資産、③設備投資、④人

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  • ギリシャと日本の'Internal Devaluation' - Think outside the box

    ドイツの賃金上昇率(→単位労働コスト上昇率)が低すぎることが、ユーロ危機の根にあるとクルーグマンが書いています。 I Do Not Think That Number Means What You Think It Means http://t.co/0hqsrq75rY — Paul Krugman (@NYTimeskrugman) 2015, 1月 29 What we see is that Italy is somewhat out of line — but the real standout is Germany, which has had much too little wage growth. And this in turn suggests that if we’re looking for the key to European problems, it lie

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  • ピーター・テミン~緊縮財政と格差拡大 - Think outside the box

    来週に77歳の誕生日を迎える1937年生まれの経済学者ピーター・テミンが、イデオロギーへの固執が1930年代の世界恐慌を深刻化させたことを指摘しています。動画は20分弱です。 Peter Temin: Lessons from the Great Depression | The Institute for New Economic Thinking The Great Depression, according to Temin, was the result of a shock to the system produced by World War I, coupled with an ideologically constrained response that exacerbated a bad situation and turned it into a crisis. In

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