ブックマーク / www.nippon.com (11)

  • 『セクシー田中さん』ドラマの原作改変、悲劇の背景を考える

    1月29日、漫画家の芦原妃名子(あしはら・ひなこ)さんの訃報が伝えられた。自身の漫画が原作の日テレビ系ドラマ『セクシー田中さん』を巡って、同局側の内容改変への不信感から終盤の脚を自ら執筆する異例の事態になった経緯を公表した直後のことだった。ネット上ではドラマ関係者への批判の声が高まり、日テレや原作を出版した小学館はそれぞれ事実関係を調査中だ。クリエイターが作品を守るために行動を取らざるを得なかった悲劇の背景には、どのような問題があるのか。 芦原さんは日テレに「必ず漫画に忠実に」と要請 日テレビ系列で2023年10~12月にドラマ化された漫画『セクシー田中さん』の原作者、芦原妃名子さん(50)が1月29日、栃木県日光市内で亡くなっているのが発見された。報道によると、自宅からは遺書が見つかっており、警察は自死とみて調べを進めているという。 芦原さんはドラマ化を許可する際、原作の版元で著作

    『セクシー田中さん』ドラマの原作改変、悲劇の背景を考える
  • プーチンが最も恐れているもの

    米国のインターネットサイトThe Journal of Democracy に2022年2月22日に公開された標記の論文(原題はWhat Putin Fears Most)を翻訳し、日語版読者の皆さんにお届けする。 ロシアによるウクライナ侵攻が始まった。ロシアのプーチン大統領は皆さんに、侵攻はNATO(北大西洋条約機構)のせいであると信じてもらいたいと考えている。動員された19万人に上るロシア兵や海兵ではなく、NATOの東方拡大がこの危機の主因であるとしばしば(この侵略が始まった際のロシア国民に向けた演説を含めて)主張してきた。 「ウクライナ危機は西側諸国の過ちにより引き起こされた」と主張する米国の政治学者ジョン・ミアシャイマーの2014年の『フォーリン・アフェアーズ』の挑発的な論考以来、NATO拡大に対するロシアの反動という物語がウクライナでこれまで継続してきた戦争を説明するための(正

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  • 氷河は溶けるのか : 福祉政策と連携を模索する就職支援

    政府はいわゆる「就職氷河期」世代に対する3年間の集中支援プログラムを策定。同世代から正社員を30万人増やすことを目標に掲げる。しかし、当に必要なのは「氷河期」とひとくくりにした対策ではなく、就業できずにいる人の個別の要因に向き合うことである。 氷河は溶けるのか? とはいっても、地球温暖化がフェイクニュースだという話ではない。日の労働市場の話である。バブル崩壊後しばらくして日の労働市場の状況が悪化した1993年~2004年ころ新規学卒として就職活動にいそしんだ世代を、いわゆる「就職氷河期世代」と呼ぶ。新卒で「正規」の職に就くチャンスを逃し、非正規社員として不利な立場に置かれてきた彼らをいかに支援するかが、社会的な課題となっている。 最初の就職先が人生の明暗を分ける? もともと、日の労働市場は「二重構造」であると指摘されてきた。典型的には、大企業などの「恵まれた企業」と中小企業などの「

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  • 全世界配信で新たに問われる「エヴァンゲリオン」の真価

    初放映から四半世紀を経ても新たなファンを獲得し続けている「新世紀エヴァンゲリオン」。ネットフリックスでの全世界配信や2020年公開予定の『シン・エヴァンゲリオン』で、再び注目を集めているシリーズの魅力と、その世界観を考察する。 1990年代後半の「社会現象」に 1995年のテレビシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」全26話と、97年に公開された劇場用映画『EVANGELION:DEATH (TRUE)2』『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の2作が、2019年春からNetflix(ネットフリックス)で全世界独占配信される。かつて90年代後半に「社会現象」を巻き起こした歴史的なタイトルだ。 物語の発端はシンプルである。14歳の少年・碇(いかり)シンジは、生き別れていた父・碇ゲンドウに突然呼び出され、「汎用人型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン」(略称EVA)のパイロットにな

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  • サバの輸入国から輸出国になった日本 : 小型サバをアフリカに輸出、脂の乗ったノルウェー産を輸入

    Japan Data サバの輸入国から輸出国になった日 : 小型サバをアフリカに輸出、脂の乗ったノルウェー産を輸入 経済・ビジネス 暮らし 2019.02.01 サバ味噌煮、サバ塩焼、締めさば――サバは和の王道材だが、いまや、日がサバ輸出大国となっているのをご存知だろうか。 1999年は輸入量17万トンに対して、輸出量はわずか2000トンだった。2004年頃から輸出量が急激に増加し、06年には17万トンとなり、輸出入量が逆転した。06年の輸出先は中国4万7700トン、韓国2万8500トン、タイ2万3300トンとアジア3カ国が全体の6割を占めた。 ここ数年、輸出先として存在感が増しているのがアフリカ諸国だ。18年は輸出量24万8700トンのうち、ナイジェリアが5万500トン、エジプト4万5700トン、ガーナ2万5700トンなど5割以上をアフリカ諸国が占めた。アフリカでは保存としてサ

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  • 『カメラを止めるな!』の“感染力”から考える日本のゾンビ人気 | nippon.com

    低予算で非日常空間を生み出すゾンビ・イベント 上田慎一郎監督の『カメラを止めるな!』の勢いが止まらない。この6月に2館で公開が始まったインディーズ映画だが、いまウェブサイトの上映館リストでは300超の映画館が名を連ねている。ミニシアターとシネコンが混在している様子から、作品そのものの面白さによって上映館が増えていったことがよく分かる。 『カメラを止めるな!』ポスター ©ENBUゼミナール 『カメラを止めるな!』は山奥の廃虚でゾンビ映画を撮影するスタッフと役者たちを巡るコメディーで、冒頭37分はワンカットワンシーンのゾンビ映画だ。作で描かれているように、日産ゾンビ映画の多くは低予算で作られ、自主制作作品の題材になりやすい。 大阪のテーマパーク、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)では、毎年「ハロウィーン・ホラー・ナイト」というイベントが開催される。期間中は、ゾンビがパーク内を徘徊(

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  • 広島被爆米兵の名前を刻んだ日本の歴史家

    1945年8月6日に広島に落とされた原子爆弾によって亡くなった犠牲者の中には、12人の米兵捕虜も含まれていた。アマチュア歴史家の森重昭さんは、40年以上を費やし、被爆米兵の遺族を探し当てた。アメリカのバリー・フレシェット監督が、その記録を『灯篭流し(Paper Lanterns)』にまとめた。 森 重昭 MORI Shigeaki 1937年生まれ。アマチュア歴史家。広島原子爆弾を経験。2008年「原爆で死んだ米兵秘史」(光人社)を出版。広島で・佳代子と暮らし、2人の子供がいる。 バリー・フレシェット Barry FRECHETTE 1970年生まれ。1992年米ストーンヒル大学卒業。25年間、ボストンで広報の短編ビデオを初めとする制作の仕事に携わる。現在Connelly Partnersでククリエイティブ・サービスのディレクターを務める。「灯篭流し(Paper Lanterns)は、映

    広島被爆米兵の名前を刻んだ日本の歴史家
  • ロシア文学と共に30年—群像社 島田進矢氏に聞く

    で唯一、ロシア文学を専門に刊行する出版社の群像社は、現代表の島田進矢氏がひとりで運営している「ひとり出版社」としても知られている。今回、横浜市南区にある群像社をたずね、島田氏に群像社の設立経緯や、歴史について語ってもらった。 島田 進矢 SHIMADA Shinya 群像社代表。1961年生まれ。大学でロシア語を学んだ後、1988年群像社に入社、ロシア文学の翻訳、編集に30年近くたずさわる。2000年から代表取締役。 ノーベル賞騒動——群像社は2015年にノーベル文学賞を受賞したベラルーシの作家スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチのを3冊出版していたことで、メディアに注目されました。しかし、契約上の問題で、増刷はおろか在庫の販売もできないということになり、そのことについては、群像社のウェブサイトでオフィシャルな声明も出されて収拾をはかられたという経緯があります。それがまずtwitter

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  • 日本の財政再建をどのように進めるべきか

    ギリシャの財政危機や米国債の格付け引き下げなど国際経済の混乱が続くなか、日の政府債務残高の対GDP比は200%を超え、極めて深刻。エコノミストの原田泰氏が日の財政赤字を解消する方策を探る。 ギリシャの財政危機がユーロ圏全体を巻き込む大問題となり、イタリアの国債利回りが急上昇し、米国債の格付けが引き下げられるなどの混乱が続いている。現在のところ、経常収支の黒字もあって、日はまだましと認識されて資金が集まり、円が上昇し、長期国債の金利はさらに低下している。ただし、円高で日の輸出企業の競争力が低下することから、株価は大幅に下落している。この状況で、政府と日銀は非不胎化介入(※1)を行ったが、その額はわずかで効果は表れていない。 財政状況だけを見れば、日の政府債務残高 (グロス)の対GDP比は200%を超え、ギリシャよりも深刻だが、金利は落ち着いている。高齢化に対応する社会保障支出は際限

    日本の財政再建をどのように進めるべきか
  • ラブホテルは時代を映す

    かつては怪しい空間の代名詞だったラブホテル。やがてシンプルに洗練され、「ラブホ」の略称で情報誌に登場すると、若いカップルが気軽に利用できるほど「カジュアル」な場所に。ラブホテルの変遷を金益見さんが語る。 金益見 KIM Ikkyon 神戸学院大学講師。1979年大阪府生まれ、在日コリアン3世。神戸学院大学大学院人間文化学研究科地域文化論専攻博士後期課程修了。著書に『ラブホテル進化論』(文藝春秋、2008年、<第18回橋峰雄賞受賞>)、『サブカルで読むセクシュアリティ――欲望を加速させる装置と流通』(共著、青弓社、2012年)、『性愛空間の文化史――「連れ込み宿」から「ラブホテル」まで』(ミネルヴァ書房、2012年)ほか。 「彼女、ラブホに通いまくってるらしいよ」——周囲の冷たい視線を感じながらも、研究論文のテーマに選んだラブホテルへと熱心に取材に出かけた金益見さん。 「私だって最初は怖か

    ラブホテルは時代を映す
  • 日本にはなぜラブホテルがあるの?

    ラブホテルは日が生んだ文化——。そう語るのは、大学時代からラブホテルをテーマに選び社会学的なアプローチで研究してきた金益見さん。この特異な性愛空間の変遷について話してもらった。 金益見 KIM Ikkyon 神戸学院大学講師。1979年大阪府生まれ、在日コリアン3世。神戸学院大学大学院人間文化学研究科地域文化論専攻博士後期課程修了。著書に『ラブホテル進化論』(文藝春秋、2008年、<第18回橋峰雄賞受賞>)、『サブカルで読むセクシュアリティ――欲望を加速させる装置と流通』(共著、青弓社、2012年)、『性愛空間の文化史――「連れ込み宿」から「ラブホテル」まで』(ミネルヴァ書房、2012年)ほか。 ラブホテルは「日文化」 (提供:金益見) 和製英語が世界に広まった例はあまりないが、その数少ないひとつが「ラブホテル」。海外のメディアが日特有の空間として、繰り返し面白おかしく取り上げて

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