経済の安定的な成長のためには、その時の経済状況(企業貯蓄率の水準)に応じて、十分な財政赤字が必要であると考えられる。 これまでの日本は、財政が赤字はすべからく「悪い」というミクロ・会計として考えられすぎた。一方で、経済の安定的な成長のためには赤字は「必要」である、というようなマクロで考えることを怠っていたと言える。 景気動向に応じて財政赤字もあり? データでも企業貯蓄率と財政赤字が、逆相関関係にあることを確認できることを解説してきた。景気動向が弱ければ財政収支の赤字は大きくあるべきだし、景気動向が強ければ財政収支は黒字になるべきだ。 日本では企業貯蓄率は恒常的なプラスになってしまっており、企業からデレバレッジの力(総需要破壊の力)がかかり続けている。言い換えれば、財政の景気自動安定化装置が極めて、重要な役割を果たし続けている。それにより総需要が加速度的に縮小し、家計の富が著しく破壊されるデ