朝日新聞の書評を見て購入した佐原徹哉『ボスニア内戦』(有志舎)を読む。ボスニア内戦の原因とその経緯について、すばらしくよく調べられ、簡潔にまとめられた好著。著者、ぼくと同い年なんだなあ。これを読んでしみじみ思ったのは、人間はいかに愚かなのかということである。人間は愚かで進歩を知らない生き物だ。こんな一節がある。 ジラスが村に入ると、頭を後ろから撃ち抜かれた二人の農夫の遺体が大きな梨の木の下に横たわっていた。そこでは他に六人が殺され遺体は運び去られていたが、幾つもの黒ずんだ血跡が草の上に残っていた。さらに進むと、道の真ん中に二〇人程の遺体が山になっていた。成人男性の遺体は二つしかなく残りは女性と子供たちだった。近くにはまだ温もりが残る揺りかごが転がっており、頭部を砕かれた嬰児の死体が傍らにあった。赤ん坊の左側には胸部を叩き潰され腹部がぷっくりと膨らんだ女の子の遺体があった…… これはスレブレ
哲学としての現象学の教えるところによれば,われわれの知覚の対象は主体がその対象に対してとる態度を通じて形成される.女性の裸体などはそのよい例だが,それは性的な刺激を引き起こすこともあれば,超然とした審美的眼差しの対象となることもあり,科学(生物学)の探究対象ともなれば,極端な場合,飢えた男たちのあいだで料理される餌食等になることさえある.これと似たことは芸術作品について語ろうとする場合にもしばしば見受けられる.つまり,政治的な備給があまりに明白すぎて,政治的情念を留保して超然とした審美的態度をとることが,理論上はともかくも,実際には不可能になってしまう場合がそうである. エミール・クストリッツァの『アンダーグラウンド』(1995)の厄介な点もここにある.われわれはこの映画を美学の対象として扱うこともできるし,政治にはセックスに劣らぬ情念が費やされる以上,政治=イデオロギー闘争に賭けられたも
ヤスミラ・ズバニッチ ベルリン国際映画祭、ボスニア映画「グルバビツァ」が金熊賞 (ロイター) - goo ニュース ボスニア映画「グルバビツァ」受賞でレイプ被害者救済に光 (ロイター) - goo ニュース CATV ムービープラスで、第56回ベルリン国際映画祭の 授賞式の様子を放映していた。 「愛の嵐」('73 伊・米)の シャーロット・ランプリングが 審査委員長を務めている。 審査員の中に、「親切なクムジャさん」のイ・ヨンエがいたので、 おっ!と思い、 最後まで見ることにした。 招待作品「シリアナ」。(中東に派遣され、後に米中央情報局(CIA)から 見放される工作員役。)で、主演したジョージ・クルーニーが、 インタヴューで応えていた。 「『9・11』以降、映画が政治を語るようになった」と・・・。 最高賞の金熊(ゴールデンベア)賞に、ボスニア・ヘルツェゴビナの女性監督 ヤスミラ・ズバニッ
オシムが語る 作者: シュテファン・シェンナッハ,エルンスト・ドラクスル,小松淳子,木村元彦出版社/メーカー: 集英社インターナショナル発売日: 2006/12/15メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 20回この商品を含むブログ (20件) を見る サッカー日本代表監督イビチャ・オシムさんのインタビュー記録『オシムが語る』を読んだ。原著のタイトルは Ivica Osim: Die Welt ist alles was der Ball ist, 2002(『イビチャ・オシム ボールの中に世界はある』)。ヴィトゲンシュタイン『論理哲学論考』の命題 "Die Welt ist alles was der Fall ist." の変奏だ。 原著の刊行時にオーストリアのシュトルム・グラーツを率いていたオシムさんは、二人のオーストリア人ジャーナリストに、政治、経済、監督業、サッカー、ジャーナ
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