衆院選に合わせ「憲法の番人」と呼ばれる最高裁裁判官の国民審査が実施される。今回は15人の裁判官のうち今崎幸彦長官ら6人を対象に、辞めさせるかどうかを判断する。制度の形骸化が懸念され、法律家らのグループは「最高裁のあり方を考える大切な機会」とし、有権者に関心を持ってほしいと呼びかける。(三宅千智、加藤益丈)
東京都江戸川区の学童保育(放課後児童クラブ)で働く職員から本紙「ニュースあなた発」に届いた声を受け、朝の開所準備がサービス出勤状態になっている実態を紹介した記事(7月31日朝刊1面)には多くの反響があった。教員や看護師などからも同様の体験談が寄せられ、「職員の善意をあてにしないで」との要望もあった。労働問題に詳しい弁護士は「使用者は現場の声を聞くべきだ」と説く。(小形佳奈) 「まさに現在、私がやっていること」。複数の学童保育で働いてきた栃木県の男性は「勤務開始20分前には出勤して清掃、書類整備、電話番をしている」という。別の職員は、保護者が子どもを早くに連れてくるため「開所20分前には出勤しなければならない」と吐露。朝のサービス出勤を強いられているという。
東京電力福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)の1号機原子炉圧力容器を支える土台が損傷していた問題を巡り、東電の対応が後手に回っている。土台が崩壊し、核燃料が残る圧力容器が落下すれば、高濃度の放射性物質が新たに放出される恐れがある。東電は容器落下の可能性は低いとして、緊急時の対処をどうするか具体的に示していない。原子力規制委員会も苦言を呈するが、東電の危機意識は薄い。(小野沢健太) 1号機の土台損傷 土台は鉄筋コンクリートの円筒形で、厚さ1.2メートル、内側の直径は5メートル。核燃料が入っていた重さ440トンの圧力容器を支えている。昨年2月〜今年3月に実施した水中ロボット調査で、土台開口部のほか、内周の壁面が床から高さ1メートルにわたって全周でコンクリートがなくなり、鉄筋が露出していたことが判明。事故時の溶融燃料の熱で崩壊した可能性がある。土台外周の床付近は堆積物が積もって確認できず、損傷の
当時の名古屋入管幹部らが不起訴処分となり、ウィシュマ・サンダマリさんの遺影を手に沈痛な表情を見せる妹ポールニマさん(右)とワヨミさん=17日、名古屋地検で 名古屋出入国在留管理局(名古屋入管)でスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が収容中に死亡した問題で、名古屋地検は17日、殺人容疑で告訴されていた当時の名古屋入管職員13人を「嫌疑なし」として不起訴にした。 13人は当時の局長や警備監理官、看守責任者ら。金山陽一次席検事は「死因の特定に至らず、不作為による殺人や殺意を認める証拠がなかった」と説明。保護責任者遺棄致死罪や業務上過失致死罪の適用も検討したが、死因が不明で職員の行為と死亡の因果関係を認定できなかったという。同じ理由で、支援者による刑事告発についても不起訴とした。
物価高と賃金の伸び悩みへの対応は、参院選の大きな焦点になる。30年近く上がらない賃金では、現在の物価急騰をカバーできないからだ。アベノミクスの柱といわれた金融緩和は円安を助長し、さらに物価を押し上げる副作用も指摘されている。与野党には生活の防衛策の提示だけでなく、現在の政策が国民に及ぼす影響への検証も求められている。(渥美龍太)
安倍晋三元首相の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会で、サントリーホールディングスが2017〜19年、計400本近い酒類を無償で提供していたことが分かった。政治資金規正法は企業の政治家個人への寄付を禁じており、「違法な企業献金に当たる可能性がある」との指摘が出ている。 本紙に開示された配川(はいかわ)博之元公設第一秘書=同法違反罪で略式命令=の刑事確定記録で、会場のホテル側が作成した資料に「持ち込み」として酒類の記載があり、同社の電話番号も書かれていた。同社広報担当者は無償提供を認めた上で「安倍議員事務所から多くの方が集まると聞き、製品を知ってもらう機会と考え、夕食会に協賛した」と説明。17〜19年だけでなく16年を加えた4年間に毎年約15万円分を提供したという。 夕食会は毎年参加者から1人5000円を徴収し、不足分を安倍氏側が補填(てん)していた。酒を持ち込んだ理由について、東
匿名Twitterアカウント「Dappi」による虚偽のツイートで名誉を傷つけられたとして、立憲民主党の小西洋之、杉尾秀哉両参院議員が東京都内のIT関連企業に対して880万円の損害賠償などを求めた民事訴訟の第3回口頭弁論が11日、東京地裁であった。被告側の弁護士は閉廷後、報道陣の取材に対し、Dappiの投稿をしたのは従業員1人だと説明した。 被告側は2月の第2回口頭弁論までに「投稿は被告会社の従業員であったことは認める」としつつ「会社の業務とは無関係に私的に行った。就業規則違反により然るべき処分を行っている」とする書面を提出。「むしろ被告らも被害者とすら言えるもので、責任を問うことは全くの筋違い」と主張していた。
国会議員に月100万円支給される「文書通信交通滞在費」(文通費)を巡り、与野党は7日の協議会で、日割り支給への変更に合わせ、名称と目的を変更する法改正案をまとめた。4月中の法改正を目指す。文通費は議員の国会での活動を支えるための経費だが、今回の改正は議員の選挙活動などにも使われている実態を合法化する内容。識者からは、選挙などの政治活動に文通費を充てるのは目的外の支出で、横流しを正当化するものだとの批判が出ている。(井上峻輔) 文通費は現行の歳費法で「公の書類を発送し、公の性質を有する通信をなす等のため」と目的が定められている。しかし、多くの政党は使途を公表しておらず、各議員が仮に私的に使っていても分からないのが現状。関係者や一部政党の公開資料によると、議員が関連する政治団体への寄付や私設秘書の人件費に充てるなど、事実上、選挙活動に使っている例は多い。
外国人技能実習生の労働問題をボランティアで支援してきたNPO法人「POSSE(ポッセ)」の若者たちが25日、「技能実習制度廃止プロジェクト」を発足させたと発表した。代表の田所真理子ジェイさん(25)は記者会見で「実習生は現代版の奴隷だ」と強調。労働相談を通じて集めた過酷な実態を広く社会に向けて発信することで、2年以内の廃止を目指す。 技能実習は本来、外国人が日本で技術を学んで母国で役立ててもらう制度だが、実態は劣悪な低賃金労働の温床だとして、米国など国際社会から「外国人搾取」と批判されている。実習生の多くは強制的に帰国させられることにおびえ、低賃金やパワハラといった問題があっても声を上げられない構造的な問題がある。 プロジェクトを始めるきっかけは2020年。ポッセの若者たちが、強制的に帰国させられたカンボジア人元実習生の支援に携わり、制度の問題点を知ったことだった。実習生からの相談はほ
厚生労働省が昨年、過労死などの労災認定をする際の労働時間の算定について、一定条件下の仮眠を除外したり、持ち帰り残業で極めて厳しい基準をとるよう全国の労働基準監督署に通達していたことが分かった。労働時間のとらえ方を労災被災者らの救済を目的とする労災保険法でなく、法令を守らせる労働基準法に基づいていることを問題視する声も強い。労働時間が実態より過小に算定され、労災の「不認定」の増加につながる恐れがある。(久原穏) 厚労省の意図について、過労死問題に取り組む弁護士でつくる「過労死弁護団」は「働き方改革と言いながら、労災認定が増えるのは不都合だからではないか。(労働者より)経営側に立つ政権の意向に沿うためもある」と推測する。 通達は厚労省労働基準局補償課が昨年3月30日付で送った「労働時間の認定に係る質疑応答・参考事例集」。機密扱いだが、家族を過労死で亡くした遺族ら関係者の情報公開請求で明るみに出
会員制交流サイト(SNS)で知り合った男性から精子提供を受け、子を出産した東京都内の30代の女性が、男性が国籍や学歴を偽ったことで精神的苦痛を受けたとして、約3億3000万円の損害賠償を求め27日、東京地裁に提訴した。SNSなどで個人間の精子取引が広がる中、代理人弁護士によると、実際のトラブルを巡る訴訟は全国初とみられる。
岸田文雄首相は21日、記者会見を開き、新型コロナウイルス対策として配布した「アベノマスク」の在庫について、希望者に配布して有効活用した上で「年度内をめどに廃棄を行うよう指示した」と述べた。
森友学園問題を巡る財務省の決裁文書改ざんに関与させられ自殺に追い込まれた財務省近畿財務局の元職員赤木俊夫さん=当時(54)=の妻雅子さん(50)が17日、同省を訪れ抗議文を提出した。
千葉県警がSNSで公開した交通ルール啓発動画に出演する女性バーチャルユーチューバー(Vチューバー)の容姿について、全国フェミニスト議員連盟が「性的だ」と抗議して削除された問題をめぐり、議連は8日、会見を開いた。議連は「表現の自由の問題ではなく、Vチューバーのことも問題にしていない。警察が子ども向けの交通安全動画に採用したことを問題視している」との見解を示した。(デジタル編集部)
自民党総裁選に立候補表明している岸田文雄前政調会長は13日、日本外国特派員協会で記者会見し、菅義偉首相が日本学術会議の会員候補6人の任命を拒否した人事について「撤回は考えません」と述べた。 東京新聞の望月衣塑子記者が菅首相の6人の任命拒否について「学術会議側は学術会議法や憲法23条の学問の自由を侵害する行為だと強く批判しており、しっかり理由が説明できないなら、任命拒否を撤回すべきだと求めている」とし、岸田氏が首相に就任した際に「撤回を考えるかどうか」と尋ねた。 これに対し岸田氏は撤回の考えを否定した上で、「人事の理由説明は難しいものの、やはりこうした問題についてのさまざまな指摘には、しっかり考えを述べなければならないとは思う」とも説明。「今後学術会議のありようについては議論が進んでおり、今回の件も踏まえ、学術会議のありようについての議論は進めていくべきだと思う」と語った。
ウィシュマさん死亡問題 上川法相、監視カメラ映像公開で弁護士同席を「遺族以外は適当でない」と認めず【動画あり】 名古屋出入国在留管理局で収容中のスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が死亡した問題で、上川陽子法相は3日、遺族が10日の監視カメラの映像を視聴する場に代理人の同席を求めている点について「遺族以外の方への映像公開は適当ではない」と、前回に続き弁護士の立ち会いを認めない方針を示した。 8月12日、出入国在留管理庁は、保存されている死亡前の監視カメラの映像336時間のうち2時間を編集し、1時間10分を遺族が視聴したが、妹のワヨミさん(28)が、視聴後に嘔吐(おうと)し、妹2人が眠れない状態が続くなど、精神的なダメージを負った。このため遺族は2回目の視聴時には、代理人の同席を強く求めている。
名古屋出入国在留管理局で収用中のウィシュマ・サンダマリさん=当時(33)=が死亡した問題で、出入国在留管理庁が、最終報告書の評価を委任した有識者の1人が所属する国際移住機関(IOM)駐日事務所が送還支援事業として、昨年度2200万円を法務省から随意契約で受けていたことが31日、わかった。 入管庁総務課によると、法務省は2018年度以降、毎年1100万円~2200万円で被収容者の自主帰国や社会復帰支援プログラムをIOMに随意契約で委託している。 上川陽子法相は同日の会見で「有識者の所属団体が、法務省と利益相反関係にあり問題では」との質問に「個別の有識者への答えは差し控えるが、(有識者には)公正に総合的な知見に基づき判断した」とし、問題ないとの認識を示した。 有識者の1人で元東京高等裁判所判事の三好幹夫弁護士が、高裁判事時代の2014年9月、女子中学生への強姦(ごうかん)罪に問われた無職男性=
フリーアナウンサー長谷川豊の人工透析患者に対する暴言が問題になった。彼は「自業自得の人工透析患者なんて、全員実費負担にさせよ!」「無理だと泣くならそのまま殺せ!」とブログに書き、厳しい批判にさらされた。 病気やけが、障害などのリスクは万人が直面する問題である。いくら健康に気を使っていても、突然病気にかかる可能性はなくならず、今日と同じ明日を迎えられるかは、常に不透明だ。そのような身体の不順やリスクに対して、原理的な自己責任論を適用してはならない。自分で治療費を負担できない人間は生きる価値がないという結論を導くことになり、最終的に公助や共助の対象となる人間は「不要な存在」と見なされかねない。生命に優劣をつける発想は、おぞましい優生思想を生み出す。 今回の暴言を目の当たりにして想起したのは、石原慎太郎の過去の発言である。彼はかつて「女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄で罪です」と述べ
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