週刊東洋経済が古典の再評価という特集をした。どんな本をお薦めしますかというので、ミルの『自由論』を選んだ。 J.S.ミル『自由論』(引用は斉藤悦則訳、光文社古典新訳文庫による) 【よみどころ】 「人民の意志というのは、じっさいには人民のもっとも多数の部分の意志、あるいは、もっともアクティブな部分の意志を意味する。多数派とは、自分たちを多数派として認めさせることに成功したひとびとである。それ故に、人民は人民の一部を抑圧したいと欲するかもしれないので、それに対する警戒が、ほかのあらゆる権力乱用への警戒と同様に、やはり必要なのである。」(18頁、強調はミル) 「人間が判断力を備えていることの真価は、判断を間違えたときに改めることができるという一点にあるのだから、その判断が信頼できるのは、間違いを改める手段をつねに自ら保持している場合のみである。」(53頁) 「人の意見は、それをほんとうに信じてい
「おはようございます」―。昨年末。まだ夜の帳が降りたままの午前6時前。千葉県内のJR駅前に、背広姿をした政治家の声が響いた。 【写真】衆院本会議で安倍元首相の追悼演説をする立憲民主党の野田元首相 気温は2度。コートを着ないと凍えそうだが、この男性は平気な顔をして、自身の活動をつづった政策ビラを通勤客に配っていく。ビラを受け取ってもらえなくても、頭を下げ「いってらっしゃい」と声をかけた。 男性は、選挙を目の前にして焦っている政治家ではない。かつて、この国の宰相を務めた野田佳彦衆院議員(65)=立憲民主党最高顧問=だ。 野田氏は平日の朝、2~3時間、選挙区(千葉4区=船橋市南西部)内のいずれかの駅前に立ち、通勤客らに「かわら版」と称するビラを配布するのが日課だ。立民ベテランは「野田氏ほど『駅立ち』に熱心に取り組む議員は日本にいないだろう」と言い切る。 野田氏は選挙に弱いわけではない。これまで9
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