産業技術総合研究所(本部・東京都千代田区、茨城県つくば市)の業務システムに先月、不正アクセスがあり、その影響で1か月以上たった今も、所内で外部へのインターネット接続ができない状態になっていることが関係者の話でわかった。 研究員から「研究活動に影響が生じている」と不満が出ている。 産総研は、約2300人の研究員を抱える日本を代表する研究機関の一つ。ロボット、新素材の開発など主に産業分野で応用できる研究を担っている。 報道室によると、不正アクセスは2月6日にあり、すぐに業務システムを停止。経費精算など安全が確認できた部分から順次再開しているが、ネット接続は遮断したままという。「今月中には再開させたい。不正アクセス元や情報流出の有無は調査中」としている。 国内外の研究成果を調べる論文検索や研究者同士のネット会議ができなくなっており、男性研究者の一人は「接続できず困っている。(国の研究機関として)
政府が小説や音楽などの著作権を保護する期間を原則20年延長し、「作者の死後70年」とすることが分かった。 11か国による新たな環太平洋経済連携協定(TPP)では、もとのTPPで決めた著作権の延長を棚上げすることになったが、日本は欧米と制度をそろえることにした。 著作権は、著作者が小説や音楽などの著作物について複製や放送、翻訳などを独占する権利。日本の著作権法では、著作権の保護期間を「作者の死後50年」と定め、権利の侵害には罰則もある。 米国を含む12か国が2016年2月に正式合意したTPPでは、映画や音楽の制作に強い米国の要求に応じて、保護期間を米国並みの「死後70年以上」にすることになった。日本は著作権法を改正し、TPP発効を条件に保護期間を70年とした。しかし、TPPが米国離脱で未発効となり、保護期間は50年のままとなっている。
2019年4月30日の天皇陛下の退位に伴い、政府は皇太子さまが即位され、改元が行われる19年5月1日を臨時の祝日か休日とする方向だ。 祝日にした場合は、祝日法に基づいて前後の平日も休日にできるため、4月27日から5月6日までの10連休となる。 祝日と休日は法制度上異なっており、祝日は祝日法で「前日及び翌日が祝日である日は休日とする」と定められている。休日は個別の法律で定めるもので、当日しか休みにならない。現在の天皇陛下の「即位の礼」が行われた1990年11月12日は臨時の休日となった。 政府は、2019年の即位日(5月1日)が休みになれば、新天皇の即位を国民あげて祝えるだけでなく、改元による国民生活への影響を抑えられるとみている。官民の業務量が少ない休みに改元すれば、元号を使ったコンピューターシステムの変更などによる混乱も避けられる見通しだ。
「こすると文字を消せるボールペン」の特許を巡り、筆記具メーカー最大手の「パイロットコーポレーション」(東京)と同業界2位の「三菱鉛筆」(同)が対立を続けている。 パイロット側が取得した特許を巡る訴訟で、知財高裁はパイロット側に軍配を上げたが、その後に同社が起こした仮処分の裁判で、三菱鉛筆は反論を展開している。 消せるボールペンは、パイロット側が2006年、欧州で「フリクション」シリーズを売り出し、07年に日本でも販売を始めた。 同社によると、摩擦熱で65度に達すると色が無色透明に変化する特殊なインクを使い、ペンの上部に付いた専用のラバーでこすると、書き損じた文字などを消すことができる。鮮やかな色合いを出せると同時に、消す際に紙を傷めにくいのが特徴で、ボールペンだけでなく、蛍光ペンなどでも応用されている。 一方、油性ボールペン「ジェットストリーム」などのヒット商品で知られる三菱鉛筆は、今年1
衆院選と滋賀県甲賀市議選の期日前投票所が設置されている滋賀県の甲賀市役所甲南庁舎で19日、“甲賀忍者”が1票を投じた。 忍者は、22日に東京都港区の増上寺講堂で開催される「甲賀流忍者検定」の実行委員会のメンバーら6人。【政治】
隕石 ( いんせき ) に含まれる鉄を使って明治時代に作られた希少な日本刀「流星刀」が、小樽市の龍宮神社に奉納された。 流星刀は、旧幕臣で北海道開拓にも貢献した榎本武揚(1836~1908年)が私財を投じて作らせた刃渡り約19センチの短刀だ。家宝として大切に保管してきた、ひ孫の隆充さん(82)(東京都在住)が、武揚が創建した同神社に託すことにした。 科学技術に通じていた武揚はロシア公使在任中、同国で隕石で作った刀を見る機会があり、自分も作ってみようと、富山県で発見された隕石を購入。依頼を受けた刀工が1897年(明治30年)、隕石から鉄を取り出し、大小計5本の刀を作った。1本は皇室にも献上されたという。武揚はこの件を論文にまとめ、学術誌に寄稿している。 流星刀は20日に奉納され、本間公祐宮司(50)は「榎本公の命をお預かりするつもりで、大切に保管したい」と語り、一般公開は行わないという。
1月27日夜、JR東京駅近くのイベント会場は約300人の熱気に包まれた。来場者が耳を傾けたのは、6人の書店員によるお薦め本のアピール。 ジャンルは小説から言語学を扱ったノンフィクションまで幅広い。「ビブリオバトル」と呼ばれるゲームで、5分間の発表時間内に本の魅力を紹介し、来場者が読みたい本を投票で決める。ゲスト参加した作家の浅田次郎さん(65)は「本を読むと自分の中で想像力が膨らむ。それから美しく楽しい時間が過ごせる。これがやっぱり読書の素晴らしさだと思う」と語りかけた。 取り組みは約10年前、大学院の勉強会で取り上げる本を探すために発案された。ビブリオバトル普及委員会事務局によると、昨年は外部に公開されたものだけでも全国で1271回が開かれた。本を手に取るきっかけ作りとして注目されており、近年は中高生や大学生がお薦め本を紹介する大会も増えている。 ただ、若い世代の本離れは深刻だ。全国大学
東京都立高校3年の女子生徒(18)は通学の電車内でスマートフォンをチェックするのが日課だ。朝までに届いたLINE(ライン)のメッセージに返信する。「友達には『了解』も『り』で済ます。 それで通じるし、長い言葉は面倒くさい」。帰りの電車もスマホ。就寝前の午前1時からは、友達とその日の出来事などを2時間ほど報告し合う。1日の利用時間は約4時間。女子生徒は「スマホがなければ、もっと寝たり本を読んだりしてたかも」と笑う。 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)はスマホの普及に伴って若者らの間で急速に広まった。2008年に日本語版のサービスが始まった簡易投稿サイト「ツイッター」は140文字以内の「つぶやき」を書き込める。一方、11年に始まったLINEでは仲間内で対話型のコミュニケーションが可能だ。いずれも瞬時に短いメッセージを発信できる利点があるが、長文のやり取りには適さない面がある。 昨
昨年1年間の難民認定申請数が、1982年に統計を取り始めて以降、初めて1万人を超えるのが確実となったことが、関係者の話でわかった。 大半は就労目的の「偽装申請」とみられ、法務省が2015年9月に始めた偽装申請対策の効果が十分でない実態が、改めて浮き彫りになった。 日本の難民認定制度は10年3月の運用改正で、申請6か月後から一律に就労できるようになった。このため、就労目的の偽装申請が急増。10年に1202人だった申請数は11年以降、過去最多を更新し続け、15年は7586人に上った。 昨年は9月末時点で既に7926人。関係者によると、申請はその後も増え続け、年間で1万人を突破するのは確実だという。一方、昨年9月末時点で6人(15年は27人)だった認定数は大幅には増えない見通しで、申請数の増加が真の難民の審査に遅れを生じさせている可能性がある。
中国ジェイアールバス(本社・広島市)の高速バスで20日夜、風邪で体調不良になった男性運転手(38)が予定外のサービスエリア(SA)で仮眠を取り、そのまま6時間半以上、眠り込んでいたことがわかった。 乗客が110番して救助を求めたが、17人が車内に約8時間、閉じ込められた状態になった。 同社によると、バスは20日午後8時30分にJR呉駅(広島県呉市)を出発し、21日午前7時頃にユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪市)に到着する予定だった。 しかし山陽自動車道を走行中、突然体調が悪くなり、20日午後11時頃、予定していなかった広島県福山市の福山SAで停車。会社に連絡せず、車両下部にある乗務員用仮眠スペースで横になり、そのまま寝込んだという。エンジンはかかった状態で、車内の暖房はついていた。
社会人サッカーの試合で30歳代の男性選手の足を骨折させたとして、東京地裁(池田幸司裁判官)が昨年12月、相手選手に約247万円の賠償を命じた判決が波紋を呼んでいる。 男性は、足に着けていた防具が割れ、左すねが折れ曲がる重傷だったが、選手同士が接触するスポーツにけがはつきものともいえる。「危険なプレーなら仕方ない」「選手が萎縮してしまう」。判決に対する現場の賛否は割れている。 「今も痛みがあり、小学生から続けてきたサッカーができなくなった。あのプレーが認められれば、子供に勧められる競技でなくなってしまう。危険なプレーを減らしたい思いだった」。今月7日、東京都内で取材に応じた男性は、訴訟に踏み切った理由をそう語った。 判決によると、男性は2012年6月、千葉市で行われた東京都社会人4部リーグの試合に出場。センターライン付近でボールを右ももで受け、左足で蹴ろうとしたところ、走り込んできた相手の左
山梨県山梨市内の中学校で6月、発達障害がある女子生徒が校内で女性教諭に髪を切られた後、不登校となっていることがわかった。 中学校によると、女子生徒は「衛生面について同級生に指摘された」と悩んでいたことから、6月上旬、教諭3人と話し合い、母親に髪を切ってもらった。翌日、女子生徒が女性教諭に「母親から『あとは先生にそろえてもらいなさい』と言われた」と話したため、女性教諭が放課後、校内の廊下で髪を切ったという。 一方、取材に対して、母親は、「娘は意思の伝達が苦手で、教諭3人と話し合った時に髪を切ることを断ったつもりだったのに、押し切られた。また、理容用でないハサミで、鏡やくしを使わず切られて髪が不ぞろいになったこともショックだったようだ」と話している。女子生徒は髪を切られた翌日からほとんど登校しなくなり、急性ストレス障害と診断されたという。 中学校の校長は「保護者に髪を切る了解を取らなかったこと
政府は、労働者に事実上無制限の時間外労働(残業)を課すことが可能とされる労働基準法の「36(サブロク)協定」の運用を見直し、1か月の残業時間に上限を設定する検討に入った。 上限を超える残業は原則禁止し、現在はない罰則規定の新設を含め、具体化を図る。長時間労働が少子化や、男性の家庭参加を阻む原因となっているとして、月内にも発足する関係閣僚と有識者の「働き方改革実現会議」(議長・安倍首相)で詳細な制度設計を議論する。 労使が36協定を結んだ場合の残業時間の上限は、現行でも「1か月45時間」の基準が厚生労働相の告示で定められている。ただ、例外規定があり、「特別の事情」について労使の合意があれば上限を守らなくてもよいことになっている。
大学入試センター試験に代わり、2020年度から導入される新テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」について、文部科学省が大学・高校関係者と検討してきた具体的な実施案を公表した。 国語と数学に記述式問題を導入する。民間試験を活用して英語の「話す」「書く」力を測る。これらが新テストの目玉だ。 マークシート式のみのセンター試験に対しては、理解度を十分に測れないとの批判がある。大学側からは、学生の「書く力」が不足しているとの指摘が目立つ。 知識量だけでなく、思考力、表現力を測るため、新テストに記述式を導入する狙いは理解できる。入試の改革で、高校の授業を変える効果も期待できよう。 記述式導入の最大の課題は、採点期間の確保だ。民間委託などで採点した場合、20~60日かかると試算されている。 2月の大学ごとの入試に間に合わせるため、12月にテストを前倒しする案も浮上したが、授業や部活動への影響を懸
過去最多の21人が立候補する中、主要候補では、元防衛相の小池百合子氏(64)と元総務相の増田寛也氏(64)が競り合い、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)が追う展開となっている。ただ、4割の人は態度を明らかにしておらず、情勢は流動的だ。 支持政党別でみると、自民支持層の4割弱が自民党推薦の増田氏を支持しているが、小池氏も3割強の支持を受けており、分裂選挙の影響が出ている。増田氏は公明支持層の6割を固めたが、小池氏も2割弱から支持されている。 一方、民進、共産両党の支持層は、いずれも5割が鳥越氏を支持しているが、小池氏にも1割以上の支持が集まっている。 都知事選の行方を左右することが多い無党派層は、2割が小池氏を支持し、増田氏と鳥越氏への支持はそれぞれ1割程度だった。 候補者を選ぶ際に最も重視した項目を見ると、小池氏の支持層は「政策や公約」とした人の割合が高く、4割だった。これに対し、岩手県
宮城県富谷町では宮城選挙区の開票作業で、立会人の1人が点検印を押すのを拒んだため、開票管理者の町選管委員長が票を確定させる異例の事態となった。 町選管によると、通常、票は3人いる立会人の点検印で確定とする。しかし、この立会人が「筆跡の似た票が大量にある」などとして点検印を押さず、長時間にわたって1票ずつ慎重に票の点検をするなどしたため、最終的に町選管委員長が公選法の規定を適用、確定を判断した。午後11時頃と見込んでいた確定が午前4時38分と5時間半以上遅れた。 また、投票者数と票数が一致しなかったため、仙台市の宮城野区で約2時間半、青葉区で約4時間半にわたって開票が遅れた。青葉区では確定時間が翌朝の11日午前7時半ごろまでずれ込んだ。
町教育委員会によると、学校側は自殺する前の進路指導で、生徒が万引きをしたという誤った記録に基づき、志望校への校長推薦は出せない旨を伝えていた。町教委は「学校側のミスがなければ推薦は出せた」としており、第三者委員会を設置し、自殺との関連を調べるとしている。8日夕に行われる臨時保護者会で経緯を説明する。 町教委によると生徒は第1志望が公立高、第2志望は受験に校長推薦が必要な私立高だった。担任教諭は昨年11月の進路指導で生徒に対し、1年生当時に万引きしたとする誤った記録に基づき推薦はできないと説明。その後も同12月8日朝まで計4回、面談し、同日には生徒に「万引きのことを親に説明する」と伝えた。
野生のニホンザルによる農作物被害などに悩む神奈川県伊勢原市は1日、同市日向の集会所で、「女性による女性のための鳥獣対策勉強会」を初開催した。 男性が仕事などでいない時間帯を見計らって出没するなどサルの動きが巧妙になっている実情を踏まえ、女性にも自衛・撃退に立ち上がってもらおうと企画。〈1〉近寄らない〈2〉目を合わせない〈3〉背中を見せない〈4〉叫ばない――の「セザル4か条」などを伝授した。 市によると、市内では約200頭のサルが生息しており、農作物被害は毎年600万~1000万円ほどで推移。追い払い対策を続けているが、歯止めが掛からず、住宅内の食料品、仏壇のお供え物まで奪われるケースも出ているという。 この日の勉強会には、日向地区周辺の主婦ら16人が参加。講師も千葉科学大学動物危機管理学科の加瀬ちひろ助教ら全員女性が務め、鳥獣の生態などを学んだうえで、エアガンやロケット花火などを使ったサル
「新編世界イカ類図鑑」の表紙。イカが逆さまのように見えるが、学術の世界ではこれが標準だ(東海大学出版部提供) イカは三角頭巾のある方が頭側で、こちらを上に表示した方が良いのか、あるいは逆か――。 イカが「市の魚」の北海道函館市で、ちょっとした“議論”が起きている。10日からは、イカやタコなどを研究する世界の頭足類学者の国際シンポジウムも函館で開かれる予定で、シンポを機に一般の論議も深まりそうだ。 シンポ開催が決まった後の今年4月、米ミネソタ大学の中島隆太准教授(現代芸術)が作成した大会ロゴマークの素案が、各国の学者にインターネットで回覧された。三角頭巾を上にした図案だったが、国内外の学者からは「少し違うぞ」との忠告が続出。中島さんは、一般にゲソと呼ばれる腕の部分を上にした図案に作り直した。 中島さんは「当初の図案は日本の一般的なイカのデザインを意識した」と説明。そのうえで、「今回は専門家の
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