■読書家は゛いい意味゛の言葉じゃない 苦しみったってオマエ、糖尿とか結核とか痔とかの苦しみじゃないだろう。いや痔だって、辛いもの食べ過ぎとか自分の放埒な生活による報いの場合があるわけだが、蔵書の苦しみって、好きで買い散らかした結果以外の何ものでもない。ケーキの食い過ぎでデブになるのと同じぐらいみっともないことなのに、コトが本となると、何か文化の香りが漂い、困った困ったと言いながら自慢げというか……と、私はずーっと、蔵書の多さを得々と嘆く人のことを批判してきたのであった。 岡崎武志といえば書評家だし、またぞろその手の自慢本か、と思ったが、この本はちょっと色合いが違う。蔵書の有名人、蔵書で困ってる人、蔵書の始末の仕方、なぜ蔵書が膨大になってしまうのか、などが書かれている。蔵書のために家を建てた人も登場し、ふだんなら私の怨嗟の的になる人だが、壁いちめんにびっしり収まってる本の写真を見てもうらやま