グーグルほどに興味をそそる企業は他にない。僕は、Gmailの大の愛好者だ。そのグーグルの総師シュミットが、初めて本を書いたという。これはもう読むしか他にないではないか。本書は7章から成っている。「未来の私たち」「アイデンティティ、報道、プライバシーの未来」「国家の未来」「革命の未来」「テロリズムの未来」「紛争と戦争の未来」「復興の未来」。では、グーグルには見えている未来の姿を眺めてみるとしよう。 読み終えた最初の感想は、「極めて穏当で常識的な結論(未来)だな」というものだった。目からウロコがドサッと落ちた、といった破天荒な箇所は、実はほとんどないように思われる。シュミットが描く未来は、あくまでも現在の延長線、連続線上にある。報道機関の未来を論じた部分などは、その典型であり、目新しいものがない。数字・ファクト・ロジックで現在を延伸していけば、結論は自ずとこの辺りに落ち着かざるを得ないのではな