自虐するときは真摯に 新刊が出るたびに尊敬の念を深めてしまう著者がいます。大学の先生なのですが、書き下ろしの本を定期的に上梓し、しかもネタの使い回しはやらない。代わりに、必ず著者自身の個人的告白を自然に本文に織り込んでくるのです。 これが自虐的で面白いんですよ。ついには新刊が出るたびに「今回は奥さんに内緒で特殊な恋愛ゲームにハマった過去をバラしているぞ」とか、「評価を厳しくしたらゼミから学生が大量脱落しちゃったのか」とか、その告白パートを楽しみにしている自分がいる次第です。 おそらく、続けて読んでくれる読者へのサービスでもあるし、少しでも本の内容を頭に入れやすくするための配慮でもあるのでしょう。 本書『セックスと恋愛の経済学』の著者も、そのタイプの書き手です。けっこうな量の研究成果を詰めこんだ、ことによると少し難しい本になりそうなところ、著者の自虐ネタが頻繁に入ってきて、退屈せずに読むこと