浅田彰 台湾のヤゲオ財団のコレクションを展示する「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である展」が京都国立近代美術館で始まった。現代美術に興味があるなら、興味深い作品がいくつか見られるので、見に行く価値はあるだろう。しかし、これは国公立美術館で麗々しく展覧会を開くに値するコレクションではなく、そもそも展覧会の企画は愚劣の一語に尽きる。それが今回の結論だ。 私はこの展覧会を2014年6月に東京国立近代美術館で見たのだが(その後、名古屋と広島を経て京都に巡回してきた)、そもそもこの珍妙なタイトルの意味がまったくわからなかった(後に述べる理由で図録のエッセーなどは読んでいない)。ただ、入館者に渡される「展覧会を別の角度から楽しんでいたたくためのガイド」を見ると、「今からあなたに50億円をお渡しします」と書かれている。キャプションに「collector challenge」マークのついた作品から気