――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 『マジカル・ガール』『リップヴァンウィンクルの花嫁』はバンパイヤの回帰を告げるのか ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 【<贈与>から<交換>への転換】 ■ギリシャ悲劇はデルフォイの神託を核とする。神託に予言された悲劇──「オイディプス王」で言えば母との姦淫──を回避しようと渾身の努力を重ねることで却って悲劇が呼び寄せられる。そこでは「苦労して精進すれば報いられる」との<交換>の論理が否定されている。 ■ソクラテス言行録『ファイドロス』では、悲劇を回避しようと神に拝跪して生贄を捧げ罪を雪ぐ営みが、神からの交換的返礼への<依存>(ゆえの神強制)として警められ、かわりに「予言の回避が予言の実現させる不条理」を承知の上で邁進する<贈与>の論理が奨励される。 ■双方共通して、